2010年の干支とらが主役の創作童話コンクール
松下千恵賞 
とらのケーキやさん
山崎小1年 植田真有さん
 むかしむかしのそのむかし。とらのケーキやさんがいました。とてもおいしく、はやくつくれるからいつもじまんして、いばっていました。おなじ村の人げんのケーキやさんは、それをきいてしょんぼりしていました。
 そこで、村の村ちょうさんは、ケーキのしょうぶをしてはどうかと二人にいいました。二人は、「ぜったい人げんのケーキやさんにかつぞ!」「とらさんにはぜったいにまけないぞ!」とはりきっています。
 しょうぶの日です。たくさんの人やどうぶつがあつまってきました。村ちょうさんが「それでははじめます。よーい、ジュワー!!」と、フライパンのやけるおとに、二人はさっとはじめました。おきゃくさんたちは、「いったいかつのはどっちだろう?」「どんなケーキをつくるのかな?」とおしゃべりをしています。
 とらはとらの人ぎょうをのせたとらケーキ。人げんは一ばんおすすめのいちごミルクケーキ。どちらもステキなデザインで、おいしそうです。二人がいっしょうけんめいつくっているとき、だれかが大きなこえで「ぜったい人げんがかつよ」「いいえ。かつのはとらだよ。だってとらはいつもあんなにいばっているんだもん」といいました。それをきいたとらは「よーし。がんばるぞ!!」といって、みぶるいをしてしまいました。おかげでさとうをいれすぎてしまったのです。とらはそれにもきづかずにつくりつづけました。
 まもなくどちらもできあがりました。ししょくのじかんです。まずはとらケーキから。とらはますますいばりがおで見ています。
 みんな一口たべると、あますぎてかおがゆがんでしまいました。「なにこれ!? あまーい。あますぎる!」。とらはびっくりしてあわててじぶんもたべてみました。「いったいどうしてこんなあじになったんだ? さとうのりょうをまちがえている。そうだ! あのときみぶるいしたからいっぱいはいってしまったんだ。そんな〜〜。あんなにくろうしてつくったのに〜〜」と大ショックです。
 つぎは人げんのばんです。みんな一口たべるとゆがんでいたかおがたちまちニコニコがおになりました。あまりのおいしさにことばも出ません。人げんのケーキやさんはドキドキしながら見ていました。
 みんな一せいに「人げんのケーキやさんのほうがおいしい!」といいました。村ちょうさんがまえにでてきて、「人げんのケーキやさんのかち!」と大ごえでいいました。
 人げんのケーキやさんはみんなからはくしゅをもらってとてもうれしそうです。とらはしょんぼりして「ごめんなさい。もうケーキづくりがうまいからっていばったりしません」とあやまりました。するとみんなは「いいよ。これからまたおいしいケーキをつくってね」といいました。
 それからとらは人げんのケーキやさんで、せいいっぱいお手つだいをするようになりました。二人で力をあわせてつくったケーキはますますおいしいケーキになってどうぶつも人げんもよろこんでかいにくるようになりました。
 とらはもういばったりしなくなって、村のにんきものになりました。
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わかやま絵本の会代表、松下千恵審査員…自信満々のとらが大失敗。うっかりミスしてケーキが甘すぎた。でも最後は、人間といっしょにおいしいケーキを作り、救われる。ラストに感動。

ニュース和歌山2010年1月23日号掲載