明治20年(1887)創業の柏木製麺所は、めんづくり一筋123年。戦災を乗り越えたが、スーパーでは低価格のうどんやそばが出回り、また、外食産業の多様化で厳しい時期を迎えていた。
中華そば支える裏方
1998年、和歌山のめん業界に大きな出来事が起こった。日本一うまいラーメン店を競うテレビ番組で、和歌山市の井出商店が優勝。和歌山で戦前から親しまれてきた中華そばが“和歌山ラーメン”として一躍、全国区となった。
柏木製麺所はその2年前から、同業七社と共同で土産用商品の開発を進めていた。商品が完成した98年末には和歌山ラーメンブームまっただ中。連日、「扱わせてほしい」との問い合わせが20件以上あり、売上は2倍に増えた。「神風が吹いたようでした」。柏木隆夫社長は振り返る。
その後、社独自で土産用商品の開発を進め、豚骨醤油味に加え、あっさり系の醤油味、夏季限定の和歌山冷やし中華など商品を増やした。「めざすは飲食店で出せるぐらいの商品。実際、『下手な店で食べるよりうまい』との声もいただきます」。ブームが定着した今、梅干しや醤油と並ぶ和歌山の人気土産に数えられるようになった。
2004年には念願だった新工場が和歌山市松島に完成。クリーンルームを備えて安全に配慮し、最新型の製造ラインが並ぶが、それでも商品の出来には職人の勘が左右する。「例えば水加減。その日の湿度や気温で微妙に調整する。小麦粉も産地によって含まれる水分が違いますから」。めんに鋭い目を向ける。
「ブームで脚光を浴びましたが、元々は地味な商売。先代がまじめにコツコツと取り組んでくれたのが信用になっている。今もコツコツ、地道にが根本です。明治36年に内国勧業博覧会に出品した際にめんを磨いたというのも、一本一本を大事にしなさいとの教えだと思います」
今もめんの一本一本にまで、妥協は許さない。
□ □
創業100年以上の和歌山県内企業に“長寿の秘訣”を聞く「老舗魂」は第2、4土曜に掲載します。
※ニュース和歌山2010年1月23日号掲載
|