和歌山大学 土曜講座・後期テーマ
「紀伊万葉の世界に学ぶ」

       
◇万葉文化の継承と定着
      
背山に
直に向かへる
妹山
こと許せやも
打橋渡す
(万葉集)

 これは今から1300年ほど前、奈良の都から和歌山(紀伊国)へ旅をした人が詠んだ歌です。背山・妹山はかつらぎ町にあります。2つ仲良く並んだ、男の山(背山)と女の山(妹山)の間に丸木橋が架かってあるのを見て、この旅人は「ああそうか! 妹山は背山のプロポーズにOKを出したんだ!」と判断したというのです。紀の川筋をテクテクと歩いていく旅人は、こんな微笑ましい想像を楽しみながら、旅のつれづれを慰めていたのですね。
 万葉集には、このように、読んで心がふっと安らぐような歌が多く収められています。現代は、慌ただしくキリキリとした緊張感に満ちた時代ですので、こんなオアシスのような存在も必要なのではないでしょうか。
 万葉の歌の良さを多くの人と共有しようと、結成されたのが「紀伊万葉ネットワーク」です。これまで、ウォーキングや啓発冊子の作成に取り組んできましたが、夢はさらに大きくふくらんでいます。それは、各地で詠まれた紀伊万葉の歌を、しっかりとその地域に息づかせよう、そして後世に伝えようという夢です。この実現のためには、次代を担ってくれる若者が心豊かに生活できる、活き活きとした地域の再生創出が必要です。
 かつらぎ町の笠田地区は、少子高齢化が進んでおり、故郷の再生のための地域資源を考えています。その一つとして妹背山万葉歌があります。万葉集の中で妹背山は何と2番目に多く登場します。笠田地区が誇ることのできる妹背山を、地域で息づかせ、活かしていこうと、具体的な実行に向け取り組んでいます。
 また、身近な万葉草木花に親しんでもらおうとガイドブックを発行し、ウォークを開催しました。可憐で神秘的な万葉草花の魅力と、文化に親しみ、誇りある故郷を体感して頂こうと企画しています。
 紀伊万葉ネットワークでは、県内全域に活動の輪を広げています。このような夢に共鳴してくださる皆さまのご参加をお待ちしています。
 (村瀬憲夫・近畿大学教授、木村哲也・紀伊万葉ネットワーク事務局長)

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 和大とニュース和歌山は、毎月原則第1土曜に和歌山市西高松の和大生涯学習教育研究センターで土曜講座を共催。次回は4月10日(土)午後2時、テーマは「フィンランドの図書館」です。

※ニュース和歌山2010年3月27日号掲載