明治31年創業 和歌山水了軒〈後〉
    
老舗 魂 高度成長期にのり、「小鯛雀寿し」の知名度を上げた和歌山水了軒。同社を引っ張ってきた八木慶三会長が昨年末に急逝。舵取りは4代目の一朗社長に委ねられた。

時代に合った“食”創造

 「駅前でうどん店をやる」
 攻めの事業展開が必要と考えた一朗社長はJR和歌山駅前にさぬきうどん店「一(はじめ)」を計画した。「水了軒の物は高い」との見方を覆し、駅周辺で働く人、駅利用者が気軽に立ち寄れる店を考えた。麺は本場の讃岐から取り寄せるなど味にこだわる。
 生前、うどん店開業に反対していた慶三会長だったが、死後、部屋からうどん店のメニュー案をつづったメモが見つかった。一月、店のオープンに会長の姿はなかったが、厳しい言葉と裏腹にそのことが一朗社長の背中を押した。
 「亡くなってから、一つひとつに父の声が聞こえる気がします」と一朗社長。中でも常々父が言口にしたのが「味が原点」。近年、米農家が減り、寿司米を複数の農家から仕入れる必要が出てきた。水が違うと、微妙に味も違う。県内外でいい米を徹底的に探し、常に今以上の品質をめざす。
 今年、和歌山水了軒にとって大きな出来事が控えている。JR和歌山駅のVIVO和歌山が3月末に「和歌山MIO」に生まれ変わることだ。MIOには土産店の「水了軒」と新たに「ランチスタイル」という店を構える。
 新店では、これまでなかった小鯛雀寿しの少数入りを販売するなど求めやすい商品展開を図る方針だ。一朗社長が語る企業長寿の秘訣は「常にお客様から信頼を頂けるようたゆまぬ努力とこだわりを持ち安心安全な商品をお届けすることです」
 亡き父の言葉を胸に「食の難しい時代。伝統の味を守りつつ時代の流れに合った食の形を探りたい」。一丸となって新時代に挑む。

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 創業100年以上の和歌山県内企業に“長寿の秘訣”を聞く「老舗魂」は第2、4土曜に掲載します。

ニュース和歌山2010年3月27日号掲載