和歌山大学 土曜講座  〈連載リスト
持続可能な社会を創る

       
    ◇キャリアと資格・検定
      教育学部 佐藤史人教授
 不景気による就職難が報じられる昨今、キャリア形成(専門的職業の経験あるいはそれを遂行する能力)が求められています。また、各種の資格や検定が盛んに紹介されています。
 産業の国際競争の激化や産業・労働市場の変容により、いわゆる終身雇用制や企業内教育訓練が廃止・縮小しています。これまでの学歴や学校歴による就職先の振り分けなどが機能せず、若者は就職前に職業能力を身に付けることが要求され、自らのキャリア形成をしなければなりません。また、職業能力など種々の能力を身に付けることは、生涯学習の観点からも重要なことです。そこで資格や検定制度が注目されるわけです。
 職業資格は、人の健康や生命あるいは財産などに関わる重要な仕事を責任持って遂行できるように、有資格者のみに就業・営業を原則的に認める制度です。検定は知識・技能などの水準を測定する制度で、これの合否によって職業の就業・営業が制限されるものではありません。実際には、こうした区別は認識されてはいませんし、資格・検定の扱われ方は様々です。
 いずれにしても、特定の職業に関連する知識・技能・経験などを客観的に示しており、こうした制度を利用することで、自らの能力を確認することができます。その一方で、資格・検定取得・合格によって必ず就職できるわけでもなく、その限界や費用対効果などの問題点もあるといえます。
 ドイツでは細かく設定された職業資格が、フランスでは学校での学習歴(卒業・修了認証)がそれぞれ重視されます。日本では学歴重視でしたが、社会変化によって現在ではうまく機能していません。そこで、一つの方法として資格・検定を理解し、各人のキャリア形成に活用していただければ幸いです。

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 和大とニュース和歌山は、毎月原則第一土曜に和歌山市西高松の和大地域連携・生涯学習センターで土曜講座を共催。次回は2月5日(土)午後2時、経済学部の辻本勝久准教授が「地方都市圏の交通とまちづくり」と題し話します。

ニュース和歌山2011年1月29日号掲載