見て、食べて、楽しんで

 生マグロの水揚げ日本一を誇る勝浦漁港がある和歌山。大きなもので100キロを超えるマグロを1本の包丁でさばき、観客の目を楽しませる解体ショーが、マリーナシティの黒潮市場で毎日行われている。年間1000本以上をさばくマグロ解体師、和泉圭紀さん(40)に、ショーの醍醐味と本物の味について聞いた。(文中敬称略)
スマイリスト
黒潮市場マグロ解体師
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和泉 圭紀さん
和泉圭紀(いずみよしのり) 和歌山市出身。マグロの魅力を伝えるべく、黒潮市場を始め県外の物産展などで腕をふるう。「実は子どもの頃は白身魚の方が好きでした」とはにかむ。黒潮市場(073・448・0008)。
市場の活気が好き

──解体師になったきっかけは。
和泉 大学を卒業するころに世界リゾート博がありました。当時、中央卸売市場でアルバイトをしていて、黒潮市場で働かないかと誘われたのがきっかけです。あのころから魚のにおいがする活気ある市場の雰囲気が好きだったので、市場での仕事が自分に合っていると感じていました。
──魚をさばいた経験はありましたか
和泉 正直、包丁はほとんど握ったことがなかった(笑)。切り込みを入れる部位や角度、切る手順を師匠に教えてもらい、深夜まで練習に明け暮れました。たくさん指を切って、包丁を持たない左手は絆創膏だらけでした。お客さんが市場にたくさん来てくれたので、どんどんさばかなければならず、そこで技を磨きました。そのおかげで、今も包丁の先と手先の距離感を体が覚えていて、切る際の力加減ができています。

迫力満点のショー

──解体ショーで心がけていることは。
和泉 一日3回、毎日行っているショーには、幅広い世代のお客さんが来られます。子どもがたくさんいるときはクイズを出してみたり、大人が多いときはコラーゲンやDHAなど健康に関する情報を織り交ぜて紹介しています。14年さばいてきましたが、毎回反省点を見つけて改良を続けています。演出はまだまだ進化を続けます。
──見どころを。
和泉 普段は仕入れやお客さんの入り具合で大体15キロ〜100キロ級のマグロをさばきますが、6月19日までの毎週日曜と祝日の午後零時半の部は、100キロ級の大マグロを使っています。切り身で売られていることが多いマグロですが、大きさに圧倒されて記念写真を撮る人も多いですよ。
──100キロというとずいぶん大きいですね。
和泉 今までで一番大きかったのが400キロ級。フォークリフトで運んで、地面の上にシートを広げてその上で切りました。通常5人がかりで行いますが、一人でやらせていただきました。大体2000人前に相当します。

本物の生の味を

──市場以外でも披露されますか。
和泉 ホテルの結婚式で披露宴の余興に呼ばれたり、個人宅のホームパーティーや忘新年会、東京での県産品の物産展などで披露します。勝浦から氷をたくさん入れた冷水保存で運んでいるので、冷凍物とは全く味が違う。生の本マグロの味は本物なので、是非一度食べてもらいたい。
──活躍の場が広がっていますね。
和泉 5分もあれば切り身になって、その場で味わえる。「見て楽しい、食べておいしい」のが魅力ですね。年齢を問わず小さい子からお年寄りまで喜んでもらえます。
──ショーを通じて伝えたいことは。
和泉
 日本人は昔から魚を食べてきました。マグロはその中で最も口にされる国民食。しかし最近は、魚のおいしい食べ方や、どれだけ体に良いかを知らない人が多いように感じます。魚に興味を持ってもらえると嬉しいですね。

ニュース和歌山2011年4月27日号掲載