地域に元気を吹き込む活動に取り組む方々の声をテーマごとに掲載
   
(1)
自然への共感 育みたい
理事長・中村格さん(56)
8月16日
(2)
森の可能性広げたい
事務局長・岡田和久さん(48)
8月23日
(3)
生命よみがえる
理事長・松本三芳さん(59)
8月30日
(4)
一生楽しく過ごせる宝箱
講師・貴瀬誠さん(48)
9月6日
(5)
日本古来の生活風景を
理事長・北原敏秀さん(58)
9月13日
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(1)自然への共感 育みたい

県ネイチャーゲーム協会理事長 中村格さん(56)


-------自然を体験するネイチャーゲーム。アメリカ生まれですね。
 1979年にアメリカのナチュラリストのジョセフ・コーネルが発表した野外活動で、さまざまな感覚を使って自然を直接体験し、自然への共感を育むものです。現在130種類の活動があり、大人と子どもが同じ目線で自然と触れあえるのが大きな特徴です。
-------全国的に広がっています。
 日本ネイチャーゲーム協会の指導者資格を得た人が中心になり、各都道府県に組織をたちあげています。和歌山では2002年に県ネイチャーゲーム協会ができ、和歌山市、岩出市、橋本市、田辺市にある地域の会がネイチャーゲームの催しを開いています。
-------活動を通じた体験はどういったものですか。
 例えば7月29日にとらふす山ネイチャーゲームの会が加太の深山で開いた催しでは「サンセットウォッチ」という活動をしました。日没時に見晴らしのいい所に座り、自然の変化を感じるものです。子どもたちは「風の流れが変わる」「夜の虫が鳴き始める」と様々な変化をとらえました。その中で、ある暗さになった時、蝉の鳴き声が一斉に止まり、私も含めみんな驚いたんです。こういう形で生き物は太陽と深いかかわりをもって生きているのを実感します。自然や生き物に共感を抱くことができるのです。
-------「知る」より「感じる」なのですね。
 自然体験でも、大人はつい子どもに知識のシャワーを浴びせてしまいます。しかし、ネイチャーゲームは、例えばタンポポなら、冬は葉を地面につけて寒さをしのぎ温かくなると花を咲かせる。春が来て喜んでいるのを活動を通じ受け止めます。そして、大人と子ども、男女の違いを超えて感動を分かち合えます。特に家族ですると本当にいい経験になりますよ。
-------今後の展望は。
 指導員を増やし、成長できるようにしたい。そして地域の会を増やし定着を図りたいです。究極の目標は、「キャンプ」と言えば内容の想像が付くように、「ネイチャーゲーム」といえば内容が分かるぐらいまでになることです。

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(2)森の可能性広げたい

根来山げんきの森クラブ事務局長 岡田和久さん(48)


--------根来寺東側に広がる「根来山げんきの森」で活動し5年。多彩な催しを企画しています。
 県民と一緒に森を整備していこうと、県が1999年11月に募集した森林ボランティアが中心となり、2001年4月に「根来山げんきの森倶楽部」が発足しました。自然観察会や植樹祭、巣箱作りなど様々な催しを開いています。今年初めて開いたのが、6月の「間伐体験と森のクラフト」です。木を切ることで森の整備を手伝ってもらい、それを材料に小物掛けなどを作りました。8月26日の竹細工も初開催で、募集後すぐに定員に達しました。
-------どの催しも盛況のようです。
 いえ、昨年開いた草刈りイベントは参加ゼロでした。植樹会にはたくさん来てくれるんですが…。植樹はあくまで森づくりの始まりの作業で、苗木が育つまでは草刈りが大事。今もメンバーで月1回、藪を整備して森に光が入るようにしたり、草を刈ったりしています。
-------げんきの森の魅力は。
 実のところ、特に貴重な生き物がいる訳でなく、おもしろみのない里山だな、というのが最初の印象でした。しかし、整備する中でいろんな変化に出合いました。数年前に植えた1メートルほどの苗木が5メートル以上に成長し実を結んだり、森が明るくなったことで眠っていたキキョウの種が芽を出し花を咲かせたり、山深い場所にいると思っていたオオルリが公園管理棟に巣を作ったり。考えていたより豊かで、多様な森なんだなと実感しています。年間3万人がこの森を訪れますが、本で得た知識でなく、私たちの経験したことが感動として伝わっているかなと思います。
-------森を歩いていると、自然のいろんな表情に出合えるんですね。
 緑を観てゆったりし、その上で森に興味を持ったらイベントに参加してほしい。もっと興味を持ったら、私たちの仲間になってほしい。例えば森の中に図書館をつくり、木陰で読み聞かせをしたり、森林散策をリハビリに取り入れることで医療に役立てたりと、いろんな森の使い方があるはず。「森とはこんなもの」と決めつけず、新しい知識や技術を持っている人に入ってもらい、可能性を広げてゆきたい。

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(3)生命よみがえる

日本自然環境学習センター理事長 松本三芳さん(59)


-------日本自然環境学習センター理事長として、加太地区で自然体験できる農園やビオトープを運営しています。
 環境保全や自然体験、農業体験、循環型社会構築をテーマに2001年秋、センターを立ち上げました。加太の石打にある休耕地を整備し、野菜作りや生物との触れあいなど自然体験できる「じぇいねすく加太石打実践地」を開設。さらに、ビオトープや田んぼを造成し、石窯を設け、陶芸や木工ができる場も作りました。
-------内容は年々増えています。
 当初から第2・4土曜に活動すると決め、野鳥観察、ネイチャーゲーム、林道づくり、間伐、木こり体験などに取り組んでいます。さらに、季節ごとに田植えや植樹祭、稲刈り、もちつきをしていますから、年間30回ぐらいは何かやっています。
-------指導者は30人ほどいます。
 大学教授や有機農業者、リサイクル事業者が得意分野を生かしています。自然との共存を通し学校教育が教えない「生きる技」を教えたい。もちろん、子どもたちだけでなく大人もカニやトンボを見て喜び、「また来たい」と言ってくれます。「ここで作業すると、心が浄化される」と話す人がいて、大人の居場所にもなっています。
-------「自然のまま」にこだわりを見せています。
 自然のままとは、放っておくのと違う。うっそうとした山に人の手を入れ、木や草を間引くことで、これまで光が当たらなかった地面に日が差す。やがて、もともとこの場所にあったササユリやキイチゴが育ってきました。生命がよみがえるんです。動物も同じ。サンショウウオやミヤマクワガタが見られるようになりました。ただ一つ、ここで育ったものを持ち出さず、また、他から生物を持ち込まないことは守ってもらいます。
-------活動を広げるためには。
 ずっと続けてゆくために門戸は大きく広げ、共鳴する人に入ってもらい次の世代に伝えたい。また、石打以外に、テニスコートを借りた深山実践地やコスモパーク加太隣接地のコスモ実践地を確保しており、ハードは十分。特に深山実践地は車イスで行けるのが特徴です。活動に社会性を持たせるために、ソフト面の充実を考えていま。

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(4)一生楽しく過ごせる宝箱

ヤッホーおじさん しぜん教室講師 貴瀬誠さん(48)


-------ニックネームは「ヤッホーおじさん」。名前の由来は。
 1999年に南紀熊野体験博が開かれた時、熊野古道を歩くことで何かを感じてもらいたいと考えました。具体的に提供でき、なおかつリピーターが増える要因になるのではと思ったのが「やまびこ」でした。解説付きのカセットテープを1000本作り、来場者や知人に配布しました。そのやまびこ調査が「ヤッホーおじさん」の由来です。
-------高校時代から山のおもしろさを伝えたいと考えていました。
 大阪の北摂地域の山間部で育ちました。高度成長期で宅地開発が進み、新しい住宅地が迫ってくると柵ができ、川に入るな、山に入るなと書いた立て札が立ち、子どもたちが山で遊ばなくなりました。貴重な体験ができる自然を子どもから奪うといろんな意味で影響が出ると思っていました。94年に和歌山へ引っ越してきてからは笛づくりや、山や川で化石や石器、遺跡の発掘、“光る木”やホタルの観察会を開いています。
-------和歌山の自然はおもしろい。
 めずらしいカタツムリがいたり、紀伊風土記の丘にヒメボタルが何万匹も飛んだり。自然には図書館がいっぱいになる情報が眠っていますが、和歌山はその“図書館”が一回りも二回りも大きくなるほど情報量が多い。それに拠点拠点に造詣の深い専門家がたくさんいるのは大きな魅力です。同じ山でも違う専門家と登ると新しい発見がつきることなくあります。
-------貴瀬さんにとって“自然”は。
 一生楽しく過ごせる宝箱です。多くのことを学びました。たとえば虫は死ぬまで蜜をすっています。その時を精一杯生きる強さを見習いたい。今の子たちがどう大人になっていけばいいのか、その答えは自然の中に眠っています。
-------今後の夢は。
 自宅裏手の紀泉高原に年間何度も登るのですが、生物の図鑑を登山道に立てるなど自然観察しながら山を歩けるよう整備したい。また、炭焼きの跡や30年前の登山道を見つけました。そういった地元の歴史も掘り起こし、きちんと調査して正確に伝えたいと考えています。

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(5)日本古来の生活風景を

ビオトープ孟子理事長 北原敏秀さん(58)


-------活動拠点は海南市孟子です。
 子どもの頃によく遊んだところで仲間同士が集まり、憩える場を作ろうとしたのが8年前です。観察している内に、周りの環境や自然の大切さを子どもに発信する場所にすべきだと気づき、環境保全、自然回復の取り組みをスタートさせました。小さな池作りから始め、多様な生物が住める環境を作りました。
-------環境の整備でたくさんの生き物が帰ってきたそうですね。
 人や動物が入らなくなった休耕田に田や池を作り、まず水生生物が目に見えた形で戻ってきました。今ではトンボやチョウがそれぞれ60種以上生息しています。このほか、地域に伝わっていたコガネグモ相撲を復活させ、毎年7月に開催しています。生態系のバランスがとれていた日本古来の生活を再生するため、炭や米を作るほか、水路を整備するなど、生活全般の分野に広がっています。
-------活動しているメンバーもいきいきとしています。
 新鮮な空気にあふれた自然の中で草を刈ったり土に触れると、疲れた体も翌日には元気になり「やってて良かった」と思えるのが自然の不思議なところ。それぞれの得手を生かして、やりがいや楽しさを感じることで生きがいの発見につながっています。
-------コミュニティビジネスも始めました。
 無農薬野菜や米、蕎麦や炭を生産、販売し運営資金に充てています。里山の保全や調査だけでなく、生産活動を行うことで、ここを拠点に「むら」機能の復活を目指すことで、知識や経験豊かな団塊世代が集まり、世代間交流が生まれ、地域の子どもたちが安心して遊べる拠点になります。
-------今後の活動は。
 近隣の家庭にチラシを配布して活動の説明会を開き、地域住民の積極的な参加を進めています。都会や郊外、海や山を問わず、地域の人同士声をかけ合い、これからの農村のあり方を具体的に考えていきたい。その中に子どもや若者も加わってもらい、自然の中でたくさんの経験をして命の大切さや様々な感情を体に染みつけてもらえればいいですね。