紀の川市出身の彫刻家、保田龍門の作品22点の鑑賞スポットをまとめた冊子「保田龍門わかやま作品巡りガイドブック」を県が作成した。

 龍門は1891年生まれで、粉河中学校を経て1912年、東京美術学校に入学。在学中に二科展に入選するなど頭角を現し、20年に渡米したのちにヨーロッパで研さんを積んで帰国した。戦後は和歌山大学で後進の指導に当たった。

 冊子は県内の施設や公園に置かれる像やレリーフを写真と地図を添えて解説。パナソニック創始者の松下幸之助夫妻をモチーフにした「松下夫妻寿像」(和歌山城の歴史館)をはじめ、和歌山市江南の安原小学校の初代校長「和田静海先生像」など和歌山ゆかりの人物像が多い。また、同市本町の紀陽銀行本店にある林業、漁業、柑橘といった県内の主要産業を表したレリーフ「春夏秋冬」、龍門の没後、スケッチを元に息子の春彦氏が制作した同市岡山丁の岡公園の「陸奥宗光先生乃像」も。

 冊子は県立近代美術館で配布するほか、那賀振興局HPでダウンロードできる。無料。

 

(ニュース和歌山2016年6月25日号掲載)