16021302_marutoyo

 〝傾いた中華そば屋”で知られる和歌山市有本の「まる豊」店主、豊田二郎さんが2月2日、同市南出島の高齢者向けデイサービス施設「輝楽魂やすらぎの家」で利用者らに中華そばをふるまった。同施設を定期的に訪れる落語家、桂枝曾丸さんの紹介で実現。豊田さんは「枝曾丸さんとは30年来の付き合いで、足が不自由になって食べに来られないという人がいると聞き、協力しました。食べやすいよう、めんを柔らかくゆでました。喜んでもらえてなにより」と笑顔を見せていた。

 やすらぎの家は、障害がある北山尋唯(ひろただ)さん、川島弥寿雄さんが、自分たちの思い描く〝気持ちで介護”を形にしようと2008年に立ち上げた。外食する機会が少ないお年寄りに、地元名物の中華そばを味わってもらおうと北山さんが考え、小中学校時代の同級生だった枝曾丸さんに相談。2人が行きつけの「まる豊」の豊田さんを招いた。

 この日は利用者約20人が集まった。豊田さんが大鍋で湯がいためんを器に入れ、スープを流し込んで具を盛りつけると、利用者から「おいしそう」と歓声が上がった。森部喜美子さん(98)は「まる豊さんの中華は初めてで楽しみにしていました。とてもおいしくて、味つけを知りたいです」とにっこり。堂脇満洲子さん(80)は「昔はよく行ったまる豊さんですが、最近は身体が動かず自分で行けなくなりました。コクがあるダシは当時と同じ」と満足な様子だった。

 北山さんは「たくさんの人の協力で運営を続けてこられたし、今日もこうして支えられて利用者に喜んでもらえた。これからも、1人でも多くの笑顔が増やせる企画を考えたい」と意気込んでいた。

写真=できたての中華そばでもてなす豊田さん(左)

(ニュース和歌山2016年2月13日号掲載)