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 県戦争空襲体験者伝承者の会は2月11日、初の講演会「今語る戦争中のこと〜何がかかれていたのか! 軍隊手帳をひも解く」を開いた。約60人の市民が熱心に耳を傾けた。

 和歌山大空襲や戦争の体験を風化させないため、昨年末に結成された同会。手記や戦争に関連する史料を集め、後世に残す活動を始めている。初の講演会となったこの日は、会員が持っていた軍隊手帳をもとに元軍人で有田市の上野山馨さん(90)が内容を語った。

 「我国の軍隊は世々、天皇の統率したもう所になりて…」。上野山さんは手帳冒頭にある軍人勅諭を朗読した。軍人の忠節、信義などを書いた後半も読み、「前半は神武天皇からの歴史、後半は軍人として守るべきこと書いている。天皇のために命を捧げる、そういう時代だった。自分たちはいつでも死ぬつもりでいた」と思いを述べた。

 この後、会場からは「軍人の忠節、信義と良いことが書かれているが、実際の軍はどうだったのだろうか」「最近、戦時中に受け取った手紙が出てきたが、勅諭をもとにしていたと思った」との声が出た。

 また、最後に来場者に戦争の体験を語ってもらう時間を設けた。ある女性は「小学1年の時、父に赤紙が来て、一人泣いている姿を見た。その涙が忘れられない。戦争は怖い」と涙ながらに伝えた。別の女性は「和歌山大空襲の際、真昼のように明るかった。田んぼに焼い弾が落ち、すり鉢みたいな穴が空いていた」と当時を振り返った。

 同会は証言や史料の収集を呼びかけていく計画で、事務局の林口秀司さんは「もっと勉強し、平和について考えていきたい」と強調していた。

写真=自らの体験をまじえ話す上野山さん(左)

(ニュース和歌山2016年2月20日号掲載)