特集「3・11 あの日から5年」

16030503_tukamban  和歌山市内で活動する青年団体が集まる市青年団体協議会は、片男波地区に津波の浸水想定を示した看板の設置を目指す。3月中に作成し、夏に設置する計画 で、中西敏揮会長は「海抜表示は街のあちこちで見かけますが、実際にその地域が最大でどの高さまで沈むのかイメージしにくい。最悪を想定した表示を日ごろ から見ておくことで、いざという時の行動につながるはず」と期待する。

 ボーイスカウト、ガールスカウト、和歌山青年会議所など5団体が 毎 月集まり、青少年の活動についての意見交換やイベントを行う協議会。毎年、メンバーが年末に東北へみかん1㌧を届け、現地でミニ運動会を開く支援を続けて いる。浸水表示は、被災者から「地域のランドマークに予想浸水高を表示すれば、皆がイメージしやすくなる」とのアドバイスを受けて考えた。

  設置場所は南海トラフ大地震が起きた際、4㍍前後浸水すると予測される片男波地区を選んだ。日ごろからの防災活動が盛んな同地区で、協議会メンバーと地域 住民が、よく集まる場所や目にする場所について検討を重ねる。子どもに親しんでもらいやすいキリンをデザインした看板を、高さ4㍍の位置に設置する。

 植田龍彦自治会長は「だれが見ても分かりやすい表示は地元の子どもだけでなく、海水浴客など地域外から来た人にとっても役立ち、助かる命が増える」と喜ぶ。中西会長は「片男波をモデル地区に、同様の取り組みが他の地域にも広がれば」と描いている。

写真=看板デザインを話し合う協議会メンバー

(ニュース和歌山2016年3月5日号掲載)