がんを患う人や家族を支援する市民の取り組みが進んでいる。医療、介護の知識を学ぶ勉強会プロジェクト、また、灯りで文字をつくるルミナリエイベント。「患者の力になりたい」との思いに変わりはない。

最後まで自分らしく 月1回 医療、介護の勉強会

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 医療や介護の正しい知識を伝えるため、NPOいきいき和歌山がんサポートは4月、専門家を招いて勉強会「いきいきスマイルリレープロジェクト」を立ち上げる。同会の杉谷園さんは「がんは2人に1人がなる時代。健康なうちに制度や保険を学び、自己解決能力を高めてほしい。知識を持つと、最後まで自分らしい生き方を選択できます」と力を込める。

 がん患者やその家族を精神的に支え、市民のがんへの意識を高めようと2010年に発足した同会。勉強会は、県立図書館(和歌山市西高松)と協同で毎月第1日曜に同館2階で実施。医療と介護の現場で働く人が医療制度や保険の活用法、病気になった時の働き方や暮らし方といった役立つ情報を伝える。看護師の杉谷さんが患者に向き合う中、「制度を知らず、治療や看護の幅をせばめている人があまりにも多い」とはがゆさを感じ企画した。「がんだけでなく、普段の診療や家族の介護にも生かせる内容にしたい」

 3年前からがんに関わる本のコーナーを設ける同館は、職員3人を毎月勉強会に参加させる。同館2階県文化情報センターの谷口義彦センター長は「司書も学び、より質の高い本選びができるようにしたい。病気や介護は身近な問題。他人事を自分事に考える人が増えれば」と願う。

 第1回は4月3日(日)午後2時。社会保険労務士の丸畑雄司さんが「知っておきたい役に立つ制度」として、高額医療費や医療費控除を説明する。これに先立ち、3月19日(土)午後2時から、同市直川の北コミュニティセンターでキックオフミーティングを行う。同会理事長で北里大学付属病院の谷野裕一医師が医療にかかわる情報の見極め方、安川診療所の安川修院長が「最後まで自分らしく生きるために」と題し話す。いずれも無料。申し込み不要。同会(073・427・6050)。

写真=準備を進める杉谷さん(左)、石井浩子さん

希望の灯り 届けたい 医大病院前でルミナリエ

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 県立医科大学附属病院(和歌山市紀三井寺)でがんと闘う患者に勇気の光を届けようと、がんに向き合うチャリティーイベント「リレー・フォー・ライフ(RFL)わかやま」の実行委が27日(日)午後7時、病院南側の明和中学校グラウンドに灯りで文字を作るルミナリエを実施する。

 RFLはがん患者と家族、遺族、支援者が一体となる支援イベントで、全国47会場で開かれる。2014年から5月に和歌山城でも開催。砂の丸広場を24時間、交代で歩き、昨年は約1200人が参加した。

 今回は、5月14日(土)~15日(日)の本番を前に、プレイベントを企画。灯ろうを25×5㍍に置き、〝HOPE〟の文字を作って入院患者を励ます。また、本番で使う灯ろうにメッセージを書くブースをグラウンドに設ける。岩倉敏浩事務局長は「自分もがんで親を見送り、『何かできたのではないか』と思うことがあります。本人、家族、色んな方にメッセージを書きに来てもらい、思いを共有しましょう」と呼びかける。

 午後9時まで実施。一般参加者は明和中グラウンドへ。駐車可。また、4月9日(土)午後1時半から、同市手平のビッグ愛9階でフォーラムを行う。医療従事者やがん経験者らによるディスカッション。無料。申し込み不要。

 RFLわかやま(メールrfl.wakayama@gmail.com、FAX073・476・5700)。

写真=昨年、和歌山城で実施したリレー・フォー・ライフ

(ニュース和歌山2016年3月19日号掲載)