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 〝城〟というと天守閣のあるものをイメージする人が多いが、堀がある館や屋敷、崖の上にあるものなど、防御性を持つ施設を指す。そんな城を調査して半世紀以上の水島大二さん(69、和歌山市)が講師を務める講座「和歌山県の城郭遺跡の魅力─南北朝から幕末まで」が4月17日(日)午後2時から、同市湊本町の市立博物館で開かれる。水島さんが顧問を務める和歌山城郭調査研究会(和城研)の主催で、「和歌山城だけではない色々な城について知り、言い伝えてほしい」と願う。

 小学生のころから全国の城が描かれたクリスマスカードを集めていた。城への思いに火が付いたのは中学2年の時。社会の先生が紹介してくれた地元の城が、偶然にも隣の席に座っていた友人の家の所有地だった。「その日の放課後、友人に頼んで見に行くと、田んぼの中で、少し高くなっていた。城は天守閣のあるものだけじゃないんだと初めて知りました」

 南部高校時代は職員用図書室に通って郷土史を読みあさり、城について書かれた部分をノートに写した。その後、現地に足を運び、調査に没頭。大学時代、また高校の教師になって以降も全国を回って調査を続けた。1989年には「地元の城跡を地元の人に知ってもらいたい」と和城研を立ち上げた。日本城郭史学会の委員も務める。

 県内にある中世、近世の城郭遺跡は約700ヵ所。今回の講座では、戦国時代の山城跡や幕末の台場跡など様々な城郭を紹介する。開発で取り壊された城跡も過去の写真を交えて説明。「建物、石垣、しゃちほこ、あるいは雰囲気…。城の魅力は人によって様々です。中高生ら若い世代にも聞いてもらいたい」

 100円。申し込み不要。白石さん(073・445・0122、午後8時以降)。

写真=半世紀以上、城を見つめてきた水島さん

(ニュース和歌山2016年4月9日号掲載)