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 少年院や刑務所の矯正施設を出所した人の再犯防止を目指し、企業が連携して就職を支える「職親(しょくしん)プロジェクト」の説明会が4月11日、和歌山市内で開かれた。以前から支援に取り組む和食レストラン「信濃路」社長の西平都紀子さんの呼びかけで34社が出席。西平さんは「受け入れは大変で、企業側にも覚悟が必要。雇用を機に新たな人生を歩む人が一人でもいれば、良かったと思えるはず」と訴えた。

 全国の一般刑法犯の検挙者は2005年以降減少している一方、再犯者の割合は1997年から上昇を続け、2014年は47・1%。住む場所や就職先が見つからないなど、社会復帰がうまくいかず、再び犯罪に手を染めてしまうケースが目立つ。そういった人たちを雇う協力雇用主は全国で1万5000社登録されているが、実際採用しているのは500社程度。県内でも登録162社のうち受け入れが5社と低調だ。

 職親プロジェクトは信濃路ら関西7社が日本財団と連携し、2013年に始めた取り組み。加盟社は東京や福岡など全国31社に広がり、少年院や刑務所内での採用面接、職場見学や基礎学力訓練を行っている。

 この日は、プロジェクトを立ち上げた大阪の飲食業「千房」の中井政嗣社長がこれまでの取り組みを紹介し、「出所者を雇用している企業として社名を明かすことに迷いはあったが、社会の受刑者に対する偏見をなくそうと続けてきた」と説明。定着率アップのため、メンタルサポートや資格取得など中間支援の必要性を強調し、「情報共有すれば、就職先が合わないと感じた出所者の転職も連携企業間でできるはず」と語った。

 出席者からは「生活と就労、両方の面での支援が必要だと感じた」「人手不足が深刻化する中、多様な人を受け入れる考え方が大切」などの意見が出た。5月にも説明会を開いて参加を呼びかけ、6月以降に和歌山の数社でプロジェクトチームを立ち上げる。西平さんは「出所者の就労支援に加え、経済的課題や非行問題を抱えている若者の支援にも取り組み、犯罪を入口で防ぐ活動も展開したい」と意気込んでいる。

写真=「出所者の居場所づくりが大切」と話す西平さん(中央)

(ニュース和歌山2016年4月16日号掲載)