160723_kaigo 介護保険サービスの利用に必要な要介護・要支援認定を受けた高齢者割合が2015年、和歌山が全国1位となった。和歌山県は2004年から介護予防運動(わかやまシニアエクササイズ)を始め、各種予防活動に力を入れてきたが、結果を見れば、効果が薄かったことになる。これに対し、エクササイズを主導する和歌山大学の本山貢教授は「運動をしたから、この程度で収まったとも言えます。継続した取り組みで効果が出ることは実証されており、さらに広げたい」と意欲をみせる。

 和歌山県の要介護認定者割合全国1位は、厚生労働省が2016年6月に発表した介護保険事業状況報告で明らかになった。2015年3月末で、65歳以上の認定率は22・1%と、1位だった長崎の22・0%を上回った。

 全国1位となった要因としては種々の意見があり、和歌山県長寿社会課は「県民の健康状態が特に悪いわけではない」とみる。

 和歌山県の介護予防事業としては、わかやまシニアエクササイズが定着する。ストレッチ、筋力トレーニングの講座を県内各地で開き、受講生は延べ2万2000人近い。修了生の自主グループは昨年度273にのぼり、継続的に参加する人は6500人を数える。

 初年度に参加した中川裕公(ひろぎみ)さん(76)は、共に受講した仲間とトレーニンググループ一期(いちご)会を立ち上げたうえ、地元の磯ノ浦や、介護施設でも指導に当たる。「俊敏性に欠けた人でも、半年もすると動きが速くなり、効果を実感します」。また、西徹さん(71)は7年前から、はっぴー会としてフォルテワジマで実施。地域の公民館での開催も視野に入れる。

 本山教授はエクササイズの取り組み率が高い九度山町民を対象に認定率を調査。町民の1割以上が継続して運動するようになった時から認定率が低下し始めたこと、運動する人の認定率はしない人の半分だったこと、要介護認定者は最も高かった26・2%から22・5%へと3年で4%近く下がったことをデータで証明した。これを元に、「和歌山県内の65歳以上は約30万人。1割の3万人が定期的に運動すれば、認定率は目に見えて下がる」と断言する。

 要介護認定率低下は、住民による継続的なエクササイズの広がりにかかっている。

写真=シニアエクササイズの取り組みは広がりを見せる

(ニュース和歌山7月23日号掲載)