練習場求め有志が署名活動

160723_sukebo リオデジャネイロオリンピックが間近に迫り、五輪ムードが高まる中、すでに視線を4年後に向ける2人の中学3年生がいる。岩出市の平松凱(がい)選手、四十住(よそずみ)さくら選手が打ち込むのは、2020年東京五輪の追加競技に有力視されるスケートボード。平松選手は2年前からプロとして活躍、四十住選手は6月にアジアの大会を制した実力者だ。2人をはじめ、若い選手の練習環境を整備してもらえるよう岩出市に求めるため、岩出スケートボード協会は署名活動に力を入れる。

 6月の国際オリンピック委員会理事会で、スケートボードは野球・ソフトボール、空手などと共に4年後の東京五輪追加競技に承認された。最終決定は8月にリオで開かれる総会の予定だ。

 岩出二中の平松選手は小学2年でスケートボードを始め、5年の時、3試合ある関西アマチュアサーキットで総合優勝し、プロ登録資格を取得した。登録可能となる中学1年からはプロとして大会に参戦する。

 一方、岩出中の四十住選手は本格的に始めてまだ2年だが、今年は関西アマチュアサーキットで5月の第1戦、7月の第2戦と連勝。6月のアジアオープンチャンピオンシップも制した。それでも「優勝したのはレディースクラス。男性選手に混ざってでも良い成績が残せるようになりたい」と更なる成長を期する。

 2人が頭を悩ませるのが練習場所だ。四十住選手の場合、平日は授業が終わると自宅敷地内に兄や知人らが手作りした設備で30分間練習。塾を終えた後、母の運転する車で泉南市や泉佐野市にある専用の施設へ向かい、午後11時ごろまで技を磨く。平松選手も同様で、「身近に練習施設ができれば、移動時間も練習に当てられるのに」と語る。

 日本スケートボード協会によると公営、民営合わせ練習できる場所は、15年前は全国に約30ヵ所だったが、現在は約500ヵ所と急増。しかし、県内の公的な施設は田辺市の扇ヶ浜公園にあるスケートパークのみで、ほかは民間の小規模な施設が数ヵ所ある程度だ。

 岩出協会は専用施設の新設を市に要望するため、今年に入り、署名活動を本格化させている。2月と4月には緑花センターで開かれたイベントでブースを設け、協力を呼びかけた。これまで集まった3600人以上の署名は近々、市に提出する計画だ。

 同協会会員で、関西を中心にスケートボードの大会やイベントを企画・運営するSSGの代表、岑(みね)早知子さんは「5年前から年2回開くSSGカップの出場者は年々増え、今は約80人。関西にもかかわらず、東京や長野からの参加もありますよ」。日本協会主催の大会や横浜市の公共スケートボード場が開くスクールも毎回100人以上が集まる人気で、競技熱は高まっている。

 ここに東京五輪決定との追い風が吹けば、今後、競技人口はますます増えると予想される。平松選手は「五輪で自分が良い成績を残すことで、競技人口が増えれば」と笑顔。岑さんは「県外の有料施設にまで足を運ばなければならない県内選手の日々の負担が軽減され、安心して練習に打ち込める場所ができるよう、また未来の五輪スターが生まれ、岩出市が世界的に注目されるよう願っています」と描いている。

(ニュース和歌山2016年7月23日号掲載)