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 図書館や保育園で読み聞かせ活動を行う「おはなしボランティアきいちご」が発足20周年を迎えた。北裏祐子代表は「子どもたちとおはなしや絵本の世界を楽しみ、喜びを共有できる会を目指してきました。来年は養成講座を開き、より多くの読み手を育てたい」とほほえむ。

 「フーフーしてくれる? みんなも一緒にフーフーしてくれる?」。3日、和歌山市西高松の県立図書館児童室第1土曜恒例「あかちゃんのおはなし会」。会員がアドリブを交え、乳幼児とその保護者一人ひとりに優しく語りかける。話の世界に引き込まれたあかちゃんがハイハイで読んでいる絵本に近づく場面も。童謡に合わせての手遊びや布遊び、紙芝居も交え、約20分があっという間に過ぎてゆく。

 きいちごは1995年に県教委が開いた「第1期図書館ボランティア養成講座」の受講生が翌96年に立ち上げた。県立図書館で同年4月から毎月第2土曜に幼児と小学生向けのおはなし会を実施。和歌山市民図書館でも同様の会を担当するほか、紀北支援学校愛徳分教室、ふたば保育園で読み聞かせを行う。2003年からは県立高校で高校生よみかたりボランティア養成講座の講師も務める。こうした活動が認められ、07年に子どもの読書活動優秀実践団体として文部科学大臣表彰を受けた。また、08年からはニュース和歌山正月号企画「干支が主役の創作童話コンクール」で代表が審査員を担当する。

 現在、会員は20代~80代の女性24人で、4グループに分かれて活動する。入会6年目の楠山香さんは「子どもたちが目を輝かせて、本の世界に入ってきてくれる瞬間が特にうれしいですね」とにっこり。発足時からのメンバー、川口節子さんは「ボランティア養成講座を受けた高校生がお父さんになり、子どもを連れておはなし会に来てくれたこともありました」と目を細める。

 紹介する絵本を選ぶ際に気をつけるのは、子どもの想像力を促す力があるか、ただかわいく、きれいな絵ではなく、生き生きとした魅力のある絵と話が調和しているかどうか。「昔話は、正しい再話かどうかにも配慮しています」と北裏代表。子どもたちの笑顔に支えられながら、今後も絵本の魅力を伝える活動を続ける。

 20周年記念講演会「読む力が未来をひらく」を10月16日(日)午後2時、和歌山市三沢町の中央コミュニティセンターで開く。講師はノートルダム清心女子大学名誉教授で児童文学研究者の脇明子さん。無料。定員100人。申し込みは「おはなしきいちご」HPから。

写真=あかちゃんも大人も引き込まれるおはなし会

(ニュース和歌山2016年9月17日号掲載)