16102902_dobu

 岩出市産の米を使ったどぶろくを市の観光PRと農業活性化につなげようと、同市岡田の紀ノ國ファームが製造に乗り出した。国が認定した「いわで根来寺どぶろく特区」事業の第1弾。同社の林定男社長は「どぶろくを使った料理も考案し、様々な場面で浸透させたい。どぶろくのメーカーが増えれば、岩出の特産として全国に発信できるはず」と描いている。

 江戸時代にどぶろくの生産が盛んであったと伝わる同市。地元米を使ったどぶろくを復活させ、特産品づくりと農家の収入アップを図ろうと市が2年前、国に特区申請、認定を受けていた。従来、酒造メーカーには製造基準量として年間6㌔リットル以上と定められているが、特区ではこうした規制が緩和される。

 紀ノ國ファームは、食品包装などを販売する紀ノ國フーズの社長、林さんが今年立ち上げ、どぶろくの製造に欠かせない甘酒を、地元の酒蔵、吉村秀雄商店の協力を得て製造。同市でとれた米と米こうじのみで12時間発酵させ、4月から「紀州あまざけ・初音」として道の駅やスーパーで販売する。「酒粕から造らず、自然な甘さが特徴。米粒が残っていて味がしっかりしています」と林さん。

 甘酒を二次発酵させるとどぶろくが完成する。現在はその設備を日本政策金融公庫の支援を受けて整えており、来春には商品化できる見通しだ。林さんは「甘酒は〝飲む点滴〟と言われるほど栄養価が高く、美容、健康に良い。どぶろくと共に親しんでもらい、岩出の歴史に思いをはせてほしい」と望んでいる。

 甘酒は180㍉で378円。紀ノ國フーズ(0736・63・5289)。

(ニュース和歌山2016年10月29日号掲載)