工房併設のカフェ完成

161105_guiter 独学でギターを作り続けて13年。今春、小学校教員を退職した山本和哉さん(61)が10月、妻の美須珠さん(51)とギター工房「暗中模索」を併設したカフェ「天手古舞(てんてこまい)」を和歌山市中島にオープンした。これまで製作は50本以上、修理を含めると200本を超えるギターにかかわった。店内にはステージを設置。2人は「カフェから作業が見えるようにしました。気軽に集い、音楽の話ができる場に」と胸を膨らませる。

 カフェは美須珠さんが以前から思い描いていた。和哉さんの定年が間近になった2年前、工房を併設することを考えた。新築し、ギター工房の雰囲気を出すため、外壁にバインディングというギターを縁取る飾りを付けた。工房には自宅から電動ノコギリや手作り道具を運び込み、見られることを意識して棚の形にもこだわる。今後はジャンルを問わず、ライブを行う予定だ。

 ギターを作り始めたのは2003年。板からボディやネックを切り出し、アコースティックギターを製造するアメリカ・マーチン社のギターを模した。以来、フェンダー、ギブソンなど有名メーカーを参考に、自分なりの工夫を凝らす。好きなのは、ボディの表面が盛り上がった「アーチトップ」と呼ばれるギター。木を削り出す作業が楽しいからだ。

 ネックが折れたりボディが欠けたりしたギターの再生も行う。例えば、1つの傷を隠すため、全面の塗装をはがして修繕し、再度塗装し直すなど、手をかける。その様子をHP「暗中模索」にアップすると、ていねいな作業に全国から反響があった。「自分で作ると出来が気になり、ほとんど弾かなくなりました。ライブではアコースティックを中心に演奏に耳を傾けたい」とほほ笑む。

 カフェは月火金、工房は月曜休み。午前11時~午後5時。天手古舞(073・460・0846)。

 写真=念願の工房とカフェを開店した山本夫妻

(2016年11月5日号掲載)