災害でふさがれた道路を緊急車両が通れるようにする「啓開」に協力して取り組もうと、国、和歌山県、県内全市町村、自衛隊、建設業者など40機関が7月11日、和歌山県道路啓開協議会を立ち上げた。東海、四国、九州に津波被害、首都圏に直下型地震を想定した協議会があるが、津波と内陸の風水害被害を見すえ、また、知事、市町村長ら道路管理者が加わったのは和歌山が初。2017年3月までに、具体的な啓開ルートを策定する。

 協議会の役割は、寸断された被災地の道路のうち、どれを基幹となる高速道や国道につなげるかを考え、啓開とスムーズな救助活動につなげること。東日本大震災で地域一帯が土砂やがれきで埋まったことから、2013年に道路法が改正され、津波被害が想定される地域で協議会設置の動きが出ていた。

 和歌山では、国、県、沿岸22市町などが2015年11月、南海トラフ地震に伴う津波浸水被害を見越した協議会を発足させ、啓開ルート案や、救助の際、生存率が大幅に低下する72時間をメドに、24時間ずつ3段階に分けたルート構想を策定した。今回は風水害も考慮し、県内全域を対象とする組織へ発展させた。

 取り組みを進めていた2016年4月、直下型の熊本地震が発生した。九州16723_way啓開協議会には熊本も参加していたが、前提としていたのは、津波被害を受け道路寸断が見込まれる宮崎、大分への救援ルート確保。熊本県道路保全課は「熊本は救援する側で、直下型地震で被災することは想定しておらず、計画では対応できなかった」と打ち明ける。

 これらを踏まえ、津波、水害、直下型地震と、災害に応じて啓開内容を作成する。和歌山県道路保全課は「今後、行動指針を作り、まず風水害、続いて内陸直下型や中央構造線による地震被害の検討に入る」と話す。

(ニュース和歌山7月23日号掲載)

画像=道路啓開イメージ 緊急車両用に幅4㍍を確保