画面に表示される仮想の街中を歩き、安全確認の大切さを学ぶ「歩行者シミュレーター」を和歌山県交通安全協会が近畿で初めて導入した。4月4日には、他の体験機材と共に自由に使える常設ギャラリーを和歌山市西の交通センター内、同協会事業課に開設。松本和也課長は「交通安全教室では歩行中の事故の恐ろしさを伝えきれなかった。シミュレーターで安全に学んでほしい」と期待する。

 シミュレーターは、正面に3台の画面が並び、カメラの前で足踏みすると、画面に映る街の景色も移り変わる。乗用車の動きや物陰からの自転車の飛び出し、信号に注意し、事故を起こさず5分程度でゴールを目指す。昼夜、天気、視野の広さ、目線の高さなど個人の特徴に合わせ、細かく条件を設定できる。

 終了後、左右の確認回数、見た時間、首の角度が表示され、体験者の性格や安全確認時のくせが分かる。自動車や自転車の運転者目線での再現映像も確認でき、歩行者が注意することで事故回避につなげられる行動も学べる。

 ギャラリーにはこのほか、自転車の安全な乗り方を学ぶ自転車シミュレーター、2つ同時に点灯するボタンを素早く押し反射神経などを判断するシニア向けのクイックアームもある。

 県内の交通事故は2002年以降減少を続けるが、昨年は4年ぶりに子どもが犠牲になる事故が発生した。松本課長は「通学を始める小学1年生の事故が特に多い。運転免許を持たない人やお年寄りにも事故の予防意識を高めてもらいたい」と望んでいる。

 午前9時~正午と午後1時~5時。土日祝休み。無料。予約不要。同協会(073・472・4668)。

写真=3画面で臨場感のある歩行者体験ができる

(ニュース和歌山より。2017年4月12日更新)