国が飲食店や公共の場での喫煙を制限する方針を固める中、食事をしながら喫煙者、元喫煙者と医師らが禁煙について気軽に話し合える「のんすもディナー」が5月27日(土)に和歌山市で開かれる。やめられない人の背中を押そうと、和歌山県立医科大学2年の濱田祥生さんが企画。「生活習慣の見直しなど予防を考えてもらう機会に」と意気込んでいる。

 濱田さんは和医大入学後、予防医学の大切さを痛感。「病気予防に学生が啓発できることは何か?」と考え、禁煙に行き着いた。

 2月にJR和歌山駅前の喫煙所ほかで108人にアンケート。この結果、「やめたいがやめられない」「減らしたい」「やめる気はない」が3割ずつと分かった。

 この中でターゲットは、やめたいがやめられない人。禁煙外来に行かない理由をたずねたところ、「医師に怒られるから」との回答が目立った。その時、日赤和歌山医療センターで禁煙外来を担当する池上達義医師から聞いた話が頭をよぎった。「私たちは喫煙者に寄り添う味方。病気になる前に先手を打てるので、来てくれるとうれしい」との言葉だ。

 濱田さんは、「考え方のズレで禁煙外来に行かないのはもったいない。医師と喫煙者をつなぎ、語り合う場を設ければいい。食事会なら足を運びやすい」と思い立った。

 ディナーでは、和歌山工業高校の奥田恭久教諭が、生徒向けに12年間毎週発行する新聞「タバコの正体」を題材に禁煙教育の成果を説明。また、禁煙外来を設ける上田晃子医師や禁煙成功者が取り組みを話す。2時間半かけ、喫煙者から本音を引き出したい考えだ。

 今回、喫煙者の「吸えないなら行かない」との意見で、喫煙室がある店を会場とした。たばこ問題を考える会・和歌山の中川利彦事務局長は「禁煙イベントにたばこを吸う場を設ける発想はこれまでなかった。参加のハードルが低くなる」と歓迎する。

 ディナー後、喫煙者の協力を得られれば禁煙までの過程を記録したい考えだ。濱田さんは「1年後に元喫煙者として話してもらえると、喫煙者の心に響くはず」と描いている。

 のんすもディナーは5月27日午後6時半、美園町のT─LABO。1000円。定員30人。濱田さん(shoki0_.0@outlook.jp)。また、同日午後1時半、県民文化会館5階で世界禁煙デーフォーラムがある。松沢成文参院議員が講演する。無料。同会(073・422・1858)。

写真=企画した和医大生の濱田さん

(ニュース和歌山より。2017年5月20日更新)