国際交流40年以上積み重ね


 日米協会が創立100周年を記念して今年創設した金子堅太郎賞に、高校の元英語教師で、現在は和歌山外国語専門学校(和歌山市駿河町)学園長の薮添泰弘さん(72)が選ばれた。青少年グループをアメリカへ約30回引率し、40年以上に渡ってホームステイを受け入れた点などが評価された。「学生たちの思いに突き動かされてやってきたことが表彰につながり、驚いています。これからは安らげて魅力にあふれる和歌山の発信にも力を注ぎたい」と目を輝かせる。

 耐久高校に勤めていた1971年、大学生の海外研修に引率として付き添い、26歳で初めて渡米。全米各州を回った。ホームステイを経験し、自分と同世代の夫婦が気さくに迎えてくれたのに感銘を受けた。帰国後、外国からの視察や留学生を積極的に受け入れる一方、生徒の要望で英語部を創設。また、和歌山の県立高校として初めて1年間の長期留学生をアメリカから迎え、自宅にホームステイさせた。

 83年には同校とアメリカのケンブリッジ高校で姉妹校提携を実現。これまで耐久高校から約550人が海外に留学している。現在は和歌山外国語専門学校の学園長として若者を海外に送り、留学生受け入れに力を注ぐ。

 日米協会は民間の交流団体で、金子堅太郎は日露戦争時にアメリカとの外交交渉で活躍。関東大震災ではアメリカからの援助物資の窓口となった。今回、長年、民間で交流に寄与した個人を67の支部から募集し、両国から3人が選ばれた。薮添さんは「今年、40年前の留学生が、子どもを連れて来日してくれました。どの交流にも歴史があり、宝物です」と語っている。

写真=留学生からの贈り物を手にする薮添さん