今年は明治維新から150年。日本は近代国家として歩み始め、社会がめまぐるしく変化した当時、活躍したのが、今年のNHK大河ドラマの主人公、西郷隆盛らです。和歌山出身者では陸奥宗光、南方熊楠、濱口梧陵らがいました。今回、そんな時代に生まれ、今も和歌山に残る〝明治スポット〟を建築家の中西重裕さんに紹介してもらいました。

Ⓐ友ヶ島灯台

 友ヶ島の西端にあり、12・2㍍の高さから光を放ち、海上交通の安全を守る。完成は明治5年と国内の洋式灯台では最も早い時期で、23年に陸軍の砲台建築のため約20㍍移動し、改築された。

 

Ⓑ中橋

 明治31年に京都・桂川に架けられ、大正元年に徳島へ移設された橋の一部。和歌山大空襲で焼失した橋の代わりに昭和28年、道路橋に改造し現在地へ。大門川の新興橋も同様のルーツと言われる。

 

Ⓒ武徳殿

 和歌山城の南隣、岡公園の一角にある武道場。明治38年の完成時は真砂町にあったが、昭和36年に現在地へ。中央部は畳64畳敷きで、和歌山市が貸し館として管理しており、今も武道団体が利用する。

 

Ⓓ旧郭医院

 和歌山市今福の住宅地にある明治10年建築の洋館。ベランダから朝日が拝めることから「迎陽閣」と称され、診療所の待合室兼投薬室として使われた。現在は「郭家住宅の会」が保存を呼びかけている。

写真=公的保存が望まれる洋館

 

Ⓔ鵬雲洞(ほううんどう)

 〝市電〟として親しまれた路面電車を通すため、明治44年に造られた。外壁はレンガの短辺と長辺を交互に積んだイギリス積みで、内壁はセメント。今は自転車と歩行者専用道路として親しまれる。

 

Ⓕ紀ノ川橋梁

 和歌山市粟〜宇治鉄砲場を結ぶ南海本線の鉄橋。627㍍あり、上り線(写真左)が明治36年、下り線(同右)が大正11年に完成。上下線で橋脚の形状などが異なり、今も市民の足を支える。

 

Ⓖ旧県議会議事堂


 明治31年、和歌山市一番丁に造られた。44年に夏目漱石が講演。昭和16年に同市美園町、37年に根来寺境内、平成28年に現在地へ移築。現存する最古の木造和風意匠の県会議事堂で、国の重要文化財。

 

(ニュース和歌山/2018年1月3日更新)