和歌山市出身 田原直哉選手
体操からエアリアルに転向
平昌出場目指しW杯転戦中

 体操競技からスキーフリースタイル競技の1つ、エアリアルに転向し、夢の五輪出場に向けて空中での演技に磨きをかける選手がいる。和歌山市出身の田原直哉選手(37)だ。出場切符獲得に向けて重要なワールドカップ(W杯)を転戦中で、今シーズンの第1、2戦はいずれも23位。「着地をまとめられなかったが、五輪出場枠獲得のためのポイントは重ねられた。残り4戦、練習でできているジャンプを出したい」。まずは6日、ロシアで行われる第3戦に思いをぶつける。

 8歳で体操を始めた田原選手。和歌山オレンジ体操クラブ、和歌山北高校体操部で練習に打ち込んだ。小中高校時代に指導していた一人、田中章二さんは「当時から上を目指す意識の高い選手でした。跳馬、つり輪、鉄棒が得意で、空中での感覚が良く、新しい技をマスターするのは早かったですね」と振り返る。

 高校卒業後に進んだ日本体育大学時代にはナショナルチーム入りを果たした。しかし、2005年、右肩の筋断裂に見舞われた。リハビリに打ち込むも、納得いく成績を残せず、仮に手術を受けて完治したとしても、目指す北京五輪には間に合わないため、翌06年、体操競技から離れた。それでも五輪への思いが消えることはなく、同年のトリノ冬季五輪で知ったエアリアルへの転向を決断した。

 エアリアルは、スキー板を履いて斜面を滑り、ジャンプ台から飛び出した空中で見せる技を採点する種目。スキー経験がほぼゼロだった田原選手は基本練習から始めたものの、体操で培った空中感覚を武器に、2年後には全日本選手権で3位に入った。その後、全日本選手権を4度制し、W杯でも2度、3位入賞を果たしている。

 五輪出場には条件が2つある。まずは、最近2年間のW杯か世界選手権で8位以内1回など、全日本スキー連盟が定める基準を満たすこと。これは昨年、W杯モスクワ大会で7位に入っており、すでにクリアしている。

 もう1つは、直近2年間のW杯の成績を元に出される世界ランキングで25位以内に入ること。田原選手は現在、ギリギリの25位だが、1ヵ国から出場できるのは4人までのため、上位に5人以上が名を連ねる中国、アメリカの選手をのぞくと22位となる。「下位選手の追い上げも考えられる。残る4戦は1戦ごとに気合いを入れていきます」

 アルバイトをしながら遠征費を確保し、競技に打ち込む田原選手。「その分、『周りの人に支えられている』と感じることが多い。目指すは五輪での金メダル。結果はもちろん大切ですが、関係する全ての方々への感謝の気持ちを胸にスタート地点に立ち、最高のパフォーマンスを見せたい」。夢を追い続ける教え子に、田中さんは「まずはW杯最終戦が行われる1月18日まで、〝健康〟〝安全〟〝成功〟をキーワードに取り組んでもらいたい」と見守る。

 合宿や遠征費を確保するため、「田原直哉サポーターズクラブ」の会員を募っている。詳細は田原選手のオフィシャルサイトで。

(ニュース和歌山/2018年1月6日更新)