和歌山から北米や中南米に渡った移民の子孫に和歌山県内で就職してもらおうと、和歌山県は現地の県人会に県内企業採用情報の提供を始める。都道府県が海外にいる日系人の就職を支援するのは珍しく、県国際課は「自分たちのルーツがある和歌山で働きたいと考える日系人、高度な技術と語学力を持つ人材を求める地元企業の双方にメリットがある」と説明する。

 和歌山は明治から戦後にかけ約4万人、全国で6番目に多い移民を輩出し、北米や中南米に県人会がある。移民100周年を迎えた昨年、仁坂吉伸知事がブラジルを訪れ、県人会から「ゆかりのある和歌山で働きたいと考える日系3世、4世が多い」と聞き、日系人のキャリアアップと県内企業の人材確保に生かそうと考えた。

 県は、日系人の採用を希望する企業の求人情報をまとめ、カナダ、アメリカ、メキシコ、ペルー、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルにある9つの県人会に提供。県人会の子弟はその情報を元に県人会の推薦状を添えて企業に出願し、選考を経て採用となる。

 募集する職種は、在留資格の対象となる機械・回路設計、プログラミング、観光企画、貿易、通訳・翻訳など。ビジネスレベルの英語、日常会話程度の日本語能力がある人を募る。県が企業に聞いたところ、約20社が関心を示し、5社が採用を検討。今春にはとりまとめた情報を届ける。

(ニュース和歌山/2018年1月24日更新)