和島興産 特産化へ足がかり

 和島興産が昨秋開設した「あわび茸ファーム」(岩出市根来)で、黒あわび茸の本格的な出荷が1月末に始まった。同社は「全国展開につなげられれば」と望んでいる。

 傘が黒く、食感があわびに似ていることから、その名がつく黒あわび茸。ビタミンや植物繊維が豊富で、健康食材として人気上昇中だ。

 国内では長野県などが産地だが、和島興産は和歌山での特産化を目指し、昨年5月、岩出市に同ファームを着工。約500平方㍍の敷地に事務所と工場を10月に完成させ、栽培に乗り出した。

 無菌化した室内で、容器内に培地をつくり、菌を気温22度、湿度73%で培養。発芽を促す工程をへて湿度90%に高め、傘の直径12〜15㌢に育てる。出荷まで約50日で、年間約60㌧の生産を目指す。

 昨年末からは、手のひら大に育った黒あわび茸を職員総がかりで培地から取り、パック詰めを進める。和歌山市本町のフォルテワジマで、1パック2〜4個入り(100㌘)のみ販売しており、1月末から大阪の市場へ出荷を始めた。全国展開への足がかりにしたい考えだ。

 同ファームの藤原勝所長は「寒い間は温度調整に苦労していますが、安定的に生産ができるようになってきました」。天ぷらや炊き込み御飯、バター炒めなど食感が楽しめる調理法がよく合う。「黒あわび茸そのものがまだあまり知られていないので、いずれ食べ方の発信など認知度を上げる取り組みをしたい」と話している。

写真=温度・湿度管理された室内で栽培される黒あわび茸

(ニュース和歌山/2018年2月3日更新)