山東農園 システム開発

 人工知能(AI)を使って、柑橘類の病害虫を自動診断するシステム「アグリショット」を和歌山市伊太祈曽の山東農園が開発した。スマートフォンのメッセージアプリ「LINE」で利用でき、硲田(さこだ)孝之社長は「経験豊富な農家が高齢のため引退し、相談できる窓口も少ない。新規就農の後押しになれば」と望んでいる。

 農作物の生産、農薬販売などを行う同農園。農薬を買いに来た客から、農作物の病気や虫の原因について相談を受けることが多かった。農林水産省はAIを活用した農業技術の開発を進めており、今回、エンジニアの協力を得て自己診断できるシステムを独自に開発した。

 マイクロソフト社やグーグル社が提供するAIに、病害虫に侵された柑橘類の写真と、診断データ、対処法などを覚えさせている。LINEで「アグリショット」を友達に追加し、虫食いや変色した部分の写真を投稿すると、5秒ほどで「黒点病」「ダニ」など約20種類の病害虫の中から最も可能性の高い結果と対処法が届く。

 精度は70~80%で、利用者からの情報を蓄積してAIに学習させ、高めていく。硲田社長は「サービス開始から2週間で500人近く利用しています。今後、対象作物を広げ、多言語に対応できるようにしたい」と描いている。

 無料。同農園(073・478・0222)。

(ニュース和歌山/2018年2月28日更新)