和歌山県が啓発用漫画作成

 高齢化が進み、多死社会の到来が予想される中、和歌山県は人生の最期をどのように過ごしたいかを考えてもらおうと、啓発漫画『さいごまで自分らしく』を作成した。2日から県内の保健所や市町村、医療機関で配布している。県医務課は「死と向き合うことは避けがちですが大切。考えたり、家族と話し合ったりする機会につなげてほしい」と呼びかける。

 県内の年間死亡数は高齢化で増え続け、1996年の9653人から2017年は1万2787人に。65歳以上の人口は2040年に全体の39・9%と、死亡数は今後増えると見込まれる。

 国の調査では、最期を迎えたい場所について自宅と答えた人が42・7%と最も多い一方、家族は病院での看取り希望が35・8%、実際に亡くなった場所も75・0%が病院だった。県は、「もしも」に備え、医療方針などの意思表示を事前にしておく重要性が高まっていると考え、漫画を発行した。

 がんの手術後、自宅で療養生活を送っていた高齢女性にがんの骨転移が見つかり入院。本人は自宅での療養を希望するが、夫はケアへの不安から病院を勧める。しかし、「最期は家で」とつづられた妻のノートを見た夫は考えを改め、在宅で受けられる医療や介護の制度を利用し、女性は家族に見守られ最期を迎える──。

 巻末には、延命治療の意向、相談できる相手など5つの考えるポイントを紹介。かかりつけ医や利用している介護事業所を控えるメモ欄も設けた。同課は「実例に基づき、当事者目線で作りました。医療や介護の在宅サービスも知ってもらえるはず」と語る。

 A5判、28㌻。無料。同課(073・441・2604)。

写真=「人生の最期を考える機会に」と医務課

(ニュース和歌山/2018年3月17日更新)