海南市 若手作家5人が再生

 かつて漆の製造や製品の保管に使われた海南市船尾の田島漆店工場跡を、若手芸術家5人がアトリエや作品発表の場によみがえらせた。5月19日(土)〜6月10日(日)に展覧会とワークショップを開く。メンバーの中田耕平さん(36)は「ものづくりをする若いメンバーがそろったので、まずは制作拠点として面白いことを続け、まちの盛り上がりにつながれば」と願っている。

 2002年まで使われた旧工場は450坪の敷地に工場や倉庫、事務所、住居を併設し、中でも昭和初期に建てられた趣きのあるレンガ造りの倉庫は近年、音楽会や上映会などのイベントスペースに活用されている。

 中田さんとこの場所の出合いは15年、県内各地で開かれた芸術祭「和歌山サローネ」の会場になったのがきっかけ。中田さんはここで綿を使った作品を展示した。以前留学したアイルランドで工場跡が共用アトリエに使われていたのを思い出し、作家仲間に声をかけた。

 メンバーは高校時代、美術大学の進学を目指して通った画塾の卒業生たち。進学後、それぞれ国内外で腕を磨き、地元にUターンした30代だ。陶芸を手掛ける鈴木正史さん(35)は「自由に実験できる場所で、ここならどんな作品が合うかを考えます。人とのつながりができ、刺激になります」とほほ笑む。

 1年かけて修繕し、今年、制作を始めた。展覧会では陶器を中心に並べるほか、絵付け体験会や音楽ライブ、上映会を実施。同所を管理する田嶋旬二さん(85)のトークもある。

 中田さんは「今後、貸し画廊ではなく、自分たちで展覧会やワークショップを企画をしていきたい。みんなで協力してカップなどの製品も作れれば面白いですね」と描いている。

 会期中は午前10時〜午後5時。火曜休み。詳細はフェイスブック「旧田島うるし工場」

 

写真=展示を構想する中田さん(左)ら