30年にわたり、和歌山の教育現場で心理学を研究する和歌山大学教育学部の米澤好史教授が書籍『やさしくわかる! 愛着障害』を7月に出版した。子どもが抱える様々な課題を愛着の観点からまとめたシリーズ第2弾。「教育関係者だけでなく保護者にも読んでもらいやすいよう、分かりやすく解説します。子どもがその子らしく生きられる一助になれば」と望む。

 臨床発達心理学と実践教育心理学が専門の米澤教授。和大に着任した1988年以降、児童養護施設や学校で子どもたち、教員、保護者と向き合ってきた。落ち着かない、たたいて怒る、よそよそしいなど、子どもが起こす行動の捉え方と適切な支援法を紹介する『「愛情の器」モデルに基づく愛着修復プログラム』を2015年に出版し、現場の教師や保護者から「同じケースで共感できた」「適切な対処法が分かった」との声が寄せられた。

 今回、愛着の形成について掘り下げて解説しようと出版。子どもが危機に陥った際に「守ってもらえる」と感じる「安全基地」、危機でなくても一緒にいるだけで安心できる「安心基地」という養育者が果たす2つの基地機能について整理し、実践例と結び付けた。「『先に安全基地を』と考えがちですが、支援はまず安心から。実践の例を交え、理論を作り直しました」

 さらに「スマートフォンやゲームなど、愛着の形成を阻害するツールに頼ってしまうこともありますが、うまく使いこなし、人格形成はじめ全ての基盤となる愛着について理解を深めてほしい」と語っている。

 A5判、160㌻。1944円。ほんの森出版(03・5754・3346)。

(ニュース和歌山/2018年8月22日更新)