ニュース和歌山土曜号の人気四コマ漫画「和歌山さんちのハッサクくん」が連載開始30年を迎えます。新たな元号になって間もない平成元年(1989年)3月15日にスタートし、ハッサクくんとその家族、友達たちが毎週、愛らしい笑いを届けてきました。節目の年にあたり、海南市出身の作者、いわみせいじさんに話を聞きました。

 

困ったら話しかける

──今回で1506回目。ネタに困ることはありませんか。

 「夕刊紙で週5回、連載していたことがあり、そちらは夢の中にまでキャラクターが出てくるくらい悩みました。不思議なことに、ハッサクくんはそれが全くない。連載開始当初、ハッサクくんのモデルは2歳の長男で、その後は5歳下の次男が2代目。2人の行動や言葉を参考に描いていました。親バカですね。今は私が考えるというより、ハッサクくんが勝手に動いてくれる。それを漫画にしています」

──どうしても動いてくれない時は?

 「そんな時は話しかけるんです。『きょう、どこに行きたい?』とか、『寒いね。何食べたい?』とか。そうすると動き出してくれます。ハッサクくんや家族、友達たちが今後、どんな活躍をするのか、読者の皆さんはもちろん、作者の私にも分かりません(笑)。キャラクターたちが楽しい時間を提供してくれることを、私自身も期待しています」

募る故郷への思い

 

──ハッサクくん開始から間もなく30年です。ニュース和歌山は今年で創刊55年ですから、実に半分以上の年数で連載していただいています。

 「今もそうですが、連載開始当時、すでに大阪に住んでいて、仕事を増やそうと、東京の雑誌社をはじめ、あちらこちらに原稿を持ち込んでいた時期でした。和歌山でも連載できないかとお願いしたのが、ニュース和歌山さんでした。漫画家は皆、連載が始まる時、『永遠に続けばいいなあ』と思っているものですが、まさか30年も続くとは」

──今後は。

 「故郷の皆さんに読んでほしいと思って始まった『ハッサクくん』、歳を重ねると、さらに故郷への思いは大きくなるばかりです。漫画家として和歌山で何かやってみたいですね。展示会やサイン会、似顔絵屋さん、漫画教室…。少しずつ計画してみます」

写真=秘密のネタ帳。レシートの裏やチラシの端に描き留めることもあるそう

いわみせいじ
 1960年、海南市生まれ。81年、雑誌『まんがタイム』で新人賞を受賞し、『おーい!ダンくん』連載開始。代表作に『写漫スープレックス』(ビッグコミック)、『ボンちゃん』(大阪新聞)、『ダボ助くん』(サンケイスポーツ)など。2010年、文化庁の文化交流使となり、海外で1年間、漫画ワークショップなどを開催。現在は大阪芸術大学客員教授として後進を指導するほか、天満天神繁昌亭での似顔絵披露、ABCテレビ「正義のミカタ」イラスト担当など多彩に活躍。

(ニュース和歌山/2019年1月3日更新)