和歌山の文化の発展に功績をあげた個人、団体に贈る県文化表彰。今年度の文化賞にかつらぎ町出身の俳優、小林稔侍さん(77)、文化功労賞に海南市の音楽家、向山精二さん(72)ら6人1団体が選ばれた。

「生涯忘れられない日」

 日本を代表する俳優として活躍する小林さんは笠田高校卒業後に上京し、東映に入社。2000年に映画『鉄道員(ぽっぽや)』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した。多数の映画やドラマに出演し、76歳を迎えた昨年は『星めぐりの町』で映画初主演を果たした。

 1月31日の表彰式で、小林さんは「受賞を糧に1分1秒でも長生きして頑張りたい。生涯忘れられない日になりました」と喜んでいた。

 文化功労賞の向山さんは、串本沖での軍艦エルトゥールル号遭難事件やテヘラン邦人救出事件に感銘を受けて作曲し、2010年にトルコで演奏会を開催。昨年はニューヨークでも平和を訴える演奏会を開き、音楽を通じて友好の歴史を発信する活動が評価された。

 このほか、本紙配布地域では、文化奨励賞に和歌山市の長唄三味線奏者、杵屋多佳さん(66)、同市出身の生物学者で東京大学大学院特任助教の細将貴さん(38)が表彰を受けた。

写真=神妙な面持ちで賞状を受け取る小林さん(左)