競泳の池江璃花子選手が2月12日に白血病を公表して以降、骨髄バンクにドナー登録する人が増えている。2月は例年、登録者が少なく、県内では昨年、33人だったが、今年は68人と2倍以上になった。関係者は「非血縁者間で白血球の型、HLA型が一致する確率は数百分の1〜数万分の1。骨髄移植を待ち望む多くの患者さんを救うため、登録を」と呼びかける。

骨髄バンク ドナー登録者増 提供者に奨励金出す市も

 「急性骨髄性白血病です」──。紀南に住むNさん(57歳、男性)は一昨年10月に告げられた。骨髄移植が必要だったが、2人の兄は大病を経験しており、骨髄を提供できない。骨髄バンクが頼みの綱だった。

 幸いにも翌年2月、ドナーが見つかり、3月に骨髄移植手術を受けた。「私の白血球は少ない型だと医師に聞いていましたので、本当に感謝です。白血病患者はとにかく生きたい気持ちでいっぱい。こうして生かせてもらえるのはありがたい」

 骨髄バンクは、白血病などの血液疾患で骨髄移植が必要な患者と、骨髄提供を希望する人を結ぶため、1992年に立ち上がった。今年1月末現在、バンクを介して移植を受けたのは2万2790人。移植希望者2895人、ドナー49万4084人が登録する。

 HLA型が一致し、骨髄移植となった場合、提供者も数日間の入院が必要となるが、この間の支援を行う自治体が出てきている。海南市は昨年春、奨励金制度を県内の自治体で初めて設けた。通院や入院1日あたり2万円で、7日間(14万円)が上限。同様の制度を紀の川市と橋本市が今年4月にスタートさせる計画だ。和歌山血液疾患患者家族の会ひこばえの会員は「ボランティア休暇制度がある大企業に勤めている人はいいですが、自営業者らにとってはこうした支援制度は助かる」と歓迎する。

 ひこばえは移植を受ける患者やその家族に対し、一昨年11月から独自の支援を行う。県立医科大学附属病院に近い紀三井寺はやしの協力を得て一泊4500円にしてもらい、さらにひこばえが2500円を援助。自己負担2000円で宿泊できるようにした。

 このほか、登録会に説明員を派遣するなど、ドナー拡大に向け、尽力を続けている。北山瑛子代表は「非血縁者間でHLA型はなかなか一致しない。だからこそ、〝自分にしか助けられない患者がいる〟と考え、登録してもらえるとありがたい」と願いを込める。

 和歌山市吹上の保健所で24日㊐午後1時〜4時にドナー登録会が開かれる。希望者は20日までに氏名、生年月日、電話番号を同保健所(073・488・5116、メールhokentaisaku@city.wakayama.lg.jp)。また、和歌山駅前献血ルーム(金曜以外)、海南保健所(第2・4月曜午前10時半〜11時半)、岩出保健所(第1・3火曜午前9時半〜11時)などでも登録を受け付ける。

写真=登録時にHLA型を調べるため、約2㎖の採血を行う。なお、登録は18歳以上54歳以下で、体重が男性45㌔以上、女性40㌔以上などの条件がある

(ニュース和歌山/2019年3月16日更新)