地域の魅力を伝えるカフェが今春、和歌山市と海南市に誕生した。加太地区にシーフード&カフェ「セレーノ」、下津町に「KAMOGO」。いずれも地元食材を使った料理や情報発信で地域活性化を目指す。

 

セレーノ 古民家再生し加太の海鮮を

 セレーノは昨年、加太地区に地域ラボを開所した東京大学生産技術研究所と同市の協力を得て、地元団体でつくる加太まちづくり会社が開設。店長を務める地元出身の西川晴麗さんは「生まれ育った町で店を開くのが夢でした。地元の魚料理を味わい、加太を満喫してもらいたい」と張り切っている。

 かつて地元青年団の集会場や漁具の倉庫として使われた築100年の古民家を、同研究所の川添善行准教授がリノベーションした。「まちの土間」をイメージした店内は、らんまや土壁が残る木造家屋のたたずまい。漁師町の雰囲気を楽しめるよう、大窓を設けた。日替わりで名産のタイなどのさしみ定食を提供するほか、サバやアジを使ったサンドイッチ、タイの形をしたクッキーといった持ち帰り商品も充実。ラボの研究成果披露、住民同士や観光客との交流にも活用する。

 川添准教授は「建物が持つ街の歴史を保ちつつ、耐震対策を施した。街の人が小さなビジネスを実現していくことで活性化につながる。ここはその第一歩となる場所」。まちづくり会社の尾家賢司社長は「住民でかわいがって大きくし、加太の名所に発展させます」と目を輝かせていた。

 午前11時半~午後5時。㊌定休。

 

KAMOGO 農家らが運営 下津感じる場

 目の前に加茂川が流れ、遠くにみかん山を望むKAMOGO。柑橘類の加工品やひじき、豆腐など〝地域の宝〟が並ぶ小さな直売所を兼ねたカフェだ。大谷幸司代表は「地域内外、色んな世代の人が憩い、下津を一番感じてもらえる場にしたい」と笑顔を見せる。

 運営は、方地区と女良地区のみかん農家らでつくる加茂川協議会。収穫期に人手がほしい農家と、農業に関心のある若者をつなぐ援農に取り組む大谷さんが中心となり協議会を立ち上げ、交流できる場をと開設した。

 12年前に閉店したJA大崎支店を、ペンキ塗りや床張りのワークショップを開いて地元の人たちで改装した。1階は金融窓口のカウンターを生かし、広々としたカフェと直売所に。2階には見晴らしの良いデッキや、多目的スペースを備える。

 カフェでは、下津で育った清見やはっさくなど旬の果物をしぼったジュース、地元豆腐店の豆乳で作った揚げ立てドーナツ、自家焙煎コーヒーが楽しめる。直売スペースには地元産ドライフルーツ入りグラノーラ、手作りの寿司などが並ぶ。

 上映会や料理教室の開催を描いており、大谷さんは「ここをきっかけに町や農業に興味を持ち、下津に移住してくれる人が増えれば」と願う。

 午前10時~午後6時。㊋㊌定休。同店(073・488・6925)。

写真=「町の魅力感じて」とスタッフ

(ニュース和歌山/2019年4月6日更新)