うるわしさ 風光に求め

 新たな元号「令和」の時代が幕を開けました。

 日本最古の歌集『万葉集』の「梅花の歌」三十二首の序文から引用された元号です。国書を初めて典拠にしたことから、『万葉集』への関心がにわかに高まっています。

 『万葉集』は戦時中、戦意高揚に用いられ、一転、戦後は天皇から庶民までの歌が収められた、民主的な面が強調されました。その幅ゆえですが、万葉歌の素朴な本質に日本各地の土地や風景と分かちがたく結びついている点があります。

 和歌山では百首以上の歌が詠まれ、紀の川に沿う妹山と背山、和歌の浦は玉津島、名草山。藤白坂、形見の浦と詠み人はその風景に様々な心模様を折り込んでいます。

 昭和、平成という時代は土地の美点に心寄せる感受性より経済的価値が優先されてきました。都市化は進み、豊かな自然は開発にさらされ、土地は激しく売買され、地方は空洞化の一途です。今なお、国家的ビッグイベントとそれに伴う大資本の遠心力で、経済を保つ以外の手法を私達は持てないでいます。

 新元号を『万葉集』から引いた意味を時代に折り込むなら、「令」が表す、「うるわしさ」をふるさとの山河が時を重ね育んだ風光に求め、立ち返るほかないでしょう。

 万葉人が風景に身と心を寄せ土地に命を吹き込んだように、新元号にみられる万葉のたたずまいが、古来に深く根ざした、清新な時代精神となるのを願ってやみません。

令和元年5月4日 ニュース和歌山株式会社

 


 

新たな時代 勢いよく 桐蔭高校書道部

 明治、大正、昭和、平成、そして令和──。和歌山市吹上の桐蔭高校は和歌山中学校時代から数え、5つめの元号に突入しました。令和第1号のニュース和歌山を飾ってくれたのは、書道部の2・3年生6人の文字です。

 「勢いよく、新しい元号が始まるように。みんなでそんな気合いを込めました。新たな時代を迎え、私自身は支えてくれる周りの人への感謝を忘れず、自分の道は自分で切り開いていけるよう、頑張っていきたい」(3年・瀬戸彩乃さん)

(ニュース和歌山/2019年5月4日更新)