多文化共生のまちづくりを目指し、和歌山県国際交流協会が映像による外国人支援に力を入れている。防災の大切さを伝える7ヵ国語の字幕付きDVDを製作し、今月から配布するほか、県内企業で働く外国人にインタビューした映像を、4月から動画サイトのユーチューブで公開している。

和歌山県国際交流協会が製作

 DVDは、県内で暮らすアメリカ人や中国人らが製作に携わり、外国人の目線で作った。阪神・淡路大震災と東日本大震災の映像で恐ろしさを伝え、和歌山で巨大地震が起こる可能性や発生時の行動、パスポートや在留カードなどの備えを解説。東日本大震災や西日本豪雨を経験した外国人の体験談も加えた。

 県内の日本語学校や外国人がいる企業、市町村へ配るほか、同市手平の県国際交流センターで貸し出す。同協会の木村恵子さんは「経験がなく、揺れを地震だと気づかない人もいる。外国人の危機意識を高めたい」と話している。

 一方、動画は紀の川市のプレス工場や和歌山市の介護施設など4社を取材し、現場で仕事に取り組む姿と、外国人労働者や社長らのインタビューを紹介(写真)。外国人が働きがいや夢、故郷への思いを笑顔で語っている。

 県内の外国人労働者は昨年10月末で2395人で、5年前より4割増え、今後も日本の少子高齢化と人手不足が進む中、増加が見込まれる。同協会の奥直子さんは「今回の企業のようにうまくいっている事例がある一方、過酷な条件で働かされている外国人もいる。地域を支える彼らに関心を持ってもらい、自分事として考えてほしい」と願っている。

(ニュース和歌山/2019年5月18日更新)