みかんの神様をまつる海南市下津町橘本の橘本神社は5月19日、みかんの研究資料や神社の歴史を紹介する資料館「常世館(とこよかん)」を開いた。神社と交流があった柑橘分類研究の世界的権威、田中長三郎(1885~1976)らの貴重な資料を初公開。前山和範宮司は「和歌山の基幹産業である柑橘栽培の文化を保存、発信していきたい」と語っている。

橘本神社 資料館新設

 みかんの原種である橘を、中国とみられる〝常世国〟から日本に初めて持ち帰った田道間守(たぢまもり)をまつる同神社。下津蔵出しみかんシステムが2月、日本農業遺産に認定され、注目が集まる中、神社で眠る資料をまとめて紹介するために開館した。

 田中は兵庫県出身の柑橘学者で、温州みかん発祥の地を探り、代表品種の宮川早生を発表するなど柑橘産業の発展に貢献した。同館では、田中の指導で神社につくられていた果樹園の歴史や、田中の業績を記したパネル、自筆の手紙を展示。田中の弟子で海南市の柑橘研究家、森本純平さんが寄贈した田中直筆のスケッチブックや学術誌も並ぶ。森本さんは「田中先生は90歳まで机に向かい、熱心に研究し続けていた。日本で資料を公開している所は珍しく、多くの人に功績を知ってもらえれば」と願いを込める。

 このほか、蔵出しみかんや最新の柑橘研究の成果を記したパネル、神社合祀の反対運動で橘本神社と関係を深めた南方熊楠の書簡や、橘をデザインした文化勲章の受章者で小説家、川端康成と映画監督、黒澤明からの書簡も展示している。

 400円、高校生以下300円。要予約。希望者は同神社(073・494・0083)。

写真=先人の研究成果を間近で見られる

(ニュース和歌山/2019年6月1日更新)