6月30日 緑風舎でお別れの会

 5月8日に76歳で亡くなった和歌山市出身のピアニスト、杉谷昭子さんの「お別れの会」が6月30日㊐午後1時、同市野崎の緑風舎で開かれる。

 杉谷さんは東京芸大卒業後、ドイツのエッセン音楽大などで学び、ヨーロッパの交響楽団、管弦楽団と共演。高評価を得て、女性ピアニストとして世界で初めてブラームスのピアノ独奏曲全集、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音した。2010年に「ヨーロッパ国際ピアノコンクール・イン・ジャパン」を創設。和歌山でも和歌山音楽コンクール(本紙主催)の審査委員長を務めたほか、1984年から26年にわたり、地元の小中高校計84校を訪れ、子どもたちにクラシックに親しんでもらう演奏活動を展開した。

 お別れの会では、午後1時から功績を紹介し、弔辞の後、杉谷さんの門下生5人が追悼演奏。橋本市のピアニスト、安田和代さんは、スロバキアの講習会で熱の入った指導を受け、共演したこともあるリスト『バラード第2番』を演奏する。安田さんは「一音弾いた瞬間に聴く人をその世界に引き入れる。その音の世界は別格でした」と語り、「晩年は小品を弾かれることが多かったですが、小さい音にこもる温かさには極められたものを感じました」と讃える。

 杉谷昭子後援会の事務局を務める林𠮷男さんは地元の学校を回った演奏会が思い出深い。「杉谷さんが大切にしていた猫のぬいぐるみ、ドッテコちゃんにちなみ『ドッテコ歌劇団』と名乗るところを私が『ドッテコ過激団』と間違えたのをおもしろがり、その名で学校を巡りました」と気さくな人柄を振り返り、「子どもが大人しく演奏を聴くか学校の先生は心配していましたが、始まるとしんとした。本物を聴くと気持ちが落ち着くのだなと思いました」と話す。

 追悼演奏に続き、2時から献花式。参加自由。林さん(073・426・3228)。

写真=和歌山音楽コンクールでの杉谷さん

(ニュース和歌山/2019年6月15日更新)