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 地元の人が作ったものを、地元の人の手に——。和歌山市の本脇と古屋の旧ろうさい病院周辺で、地元を盛り上げようと住民が力を合わせている。本脇では「本脇町おこしの会」が毎週土曜にビニールハウスを直売所にした手作りの朝市を開催。地元産の新鮮野菜を販売し、にぎわいを見せている。また、古屋では病院跡隣で飲食店を営む内田哲哉さんが中心となり、近隣住民の手作り品を並べた「古屋まちづくりフリーマーケット」を3月22日(日)と4月5日(日)に初めて開く。

本脇地区 にぎわう農産物朝市

 「いらっしゃいませー、いつもありがとう!」「おはようさん、今日は何あるかな?」。県道粉河加太線沿いに建つビニールハウスに、朝8時ごろから自転車や車で続々と客が集まる。

 ビールケースの上に板を置き、大根にキャベツ、白菜と旬の農作物が並ぶ手作りの朝市。60〜70代の有志でつくる本脇町おこしの会が「地元産のものを地元の人が手に入れられる場所を」と5年前からボランティアとして運営する。

 野嶋良平会長は「加太のホテルの料理長が訪れることもあります。近隣はお年寄りが多く、『最近来てなかったけどどうしたんよー』なんて声を掛け合う、笑い声の絶えない交流の場になっています」。大々的に宣伝はしていないが、口コミで広がりリピーターが増え、9時を回ると次第に商品が少なくなっていく。

 現在は10軒の農家が商品を出す。前日と当日の朝6時半にメンバーが手分けして軽トラックで集荷して回る。泥を洗い落として値段を付け準備し、メンバーはフル出動だ。店じまいの後は農作物の植え付けに励む。

 メンバーで農家の中村弘さんは「本脇は砂地で農業が盛ん。漁港も近く、半農半漁の土地です。朝市は価格を抑え、形が少しふぞろいなものも出せる。すっかり定着し、売り上げは伸びています」とにっこり。

 毎週訪れる女性は「東に少し行けばスーパーはたくさんありますが、対面販売で話ができ、地元の新鮮なものが買えるのがいいですね」と喜ぶ。

 同市本脇339—3(「地元産野菜」の看板あり)。午前8時〜11時だがなくなり次第終了。雨天開催。駐車場あり。

旧ろうさい病院跡周辺 住民アート並ぶフリマ

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 2009年に木ノ本へ移転したろうさい病院。旧病院周辺は移転とともに調剤薬局をはじめ商店が少なくなり、住宅地に変わっている。

 「古屋まちづくりフリーマーケット」は、旧病院隣のビル前で開催。移転後、空きテナントになった1階で13年からそば屋「こでまり」を営む内田さんと、昨年11月に同ビルへ入居した県産しょうがの加工品を製造販売する紀州甘辛屋の中嶋尚美さんが協力し、地域ににぎわいを呼ぼうと企画した。メーンは平均年齢48歳、16人の「KOYA48」による手作りアートの販売だ。

 内田さんの店は飲食店ながら地元野菜とともに、ハンドメイドのルアー、ワイヤーアートにビーズアクセサリーなど地域住民の手作り品を販売し、憩いの場になっている。「少し置くと売れ、自然と集まるので〝おばちゃん・おいちゃんアート〟と名付けました」と笑顔。「趣味で作ったものが売れて励みになる」との声が聞こえ、地元を元気にしようとマーケットの開催を決めた。

 当日はビル前の駐車場にブースを設け、作者本人が販売。野菜や食品も並べる。家族で出店する沼尻三千代さんは「夫はストラップ作りに張り切っています。イベントが地域活性化のきっかけになれば」と歓迎する。

 内田さんは「まずは2回開き、好評なら続けたい。手作りアートを通じて近隣の人同士が交流する場にし、人のつながりを大切にしたい」と描いている。

 会場は同市古屋434—2、K&Sプラザ前駐車場。午前10時〜午後3時。駐車場あり。雨天時はビル内で実施。内田さん(tet88@onyx.ocn.ne.jp)。

写真=イベントを企画する内田哲哉さん(右から2番目)

(ニュース和歌山3月14日号掲載)