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 創業550年の歴史を誇りつつ、昨年6月に破産した老舗和菓子メーカー「駿河屋」。元従業員有志が新会社「総本家駿河屋」を立ち上げ、3月24日(火)正午に和歌山市駿河町の元本店を再オープンする。岡本良太社長は「『菓子のみに生きる』を本分とわきまえ、地元の人々に愛され育った味と伝統を継承していきたい。お客様目線の、喜んでもらえる菓子作りを心掛けたい」と意気込んでいる。

 室町時代に創業された駿河屋。江戸時代には紀州藩の御用菓子司として藩から屋号を授かり、戦後はプリンやカステラなど洋菓子も手がけ、東証と大証に上場した。西日本各地の百貨店にも進出したが、和菓子離れなどで営業がふるわず、約9億円の負債を抱え、倒産した。

 昨年7月、旧会社の資産を有田市の三和インセクティサイド会長、田中源一郎さんが購入。一方、元従業員は11月に新会社を立ち上げ、創業家出身の岡本さんが社長に就いた。新会社は田中さんの支援を受け、機械の保守整備や新商品開発など準備を進めていた。

 今年2月には京都に伏見店を先行オープン。今月24日に和歌山市駿河町の元本店、5月ごろには高松、中之島の元店舗を再開する。旧会社で働いていた菓子職人が手がける季節ごとの菓子を含め、500種類以上あった商品は、本ノ字饅頭(まんじゅう)や練羊羹(ようかん)など主力商品を中心に30種類にしぼる。年間売り上げ目標は1億5000万円。

 「紀州の和菓子と文化を考える会」代表で和歌山大学の鈴木裕範客員教授は「いったん止まった時間が再び動き始めた。伝統は革新の連続で継続されてゆく。新しい物を生み出し、伝統を新たに築いていってほしい」と願っている。

写真=新会社への意気込みを力強く語る岡本社長(右)

(ニュース和歌山2015年3月21日号掲載)