2015040404suruga

 創業550年の老舗和菓子店、駿河屋が3月24日、約10ヵ月ぶりに営業を再開した。旧会社の社員有志が立ち上げた新会社、総本家駿河屋が運営し、この日を待ち焦がれたファンが駆けつけた。岡本良太社長は「遠方からの人もいて、感謝の一言に尽きます。丁寧な菓子作りを心掛け、地元の人たちに喜んでもらえる、必要とされる菓子店にしてゆきたい」と決意を新たにした。

 業績不振から約9億円の負債を抱え、昨年6月に倒産した駿河屋。11月に社員有志が新会社を立ち上げ、今年2月に京都の伏見店をオープンさせ、和歌山市駿河町の本店再開に向けて準備を進めてきた。  3月24日は正午の開店を前に、約100人ものファンが列をなした。岡本社長が店の入口にのれんをかけると、客たちは店内へ。早速、本ノ字饅頭(まんじゅう)や練羊羹(ようかん)などなじみの商品のほか、桜の葉の粉を練り込んだ生地であんを包んだ新商品「花つむじ桜」や、伏見店の限定品だった古代伏見羊羹を買い求めていた(写真)

 本ノ字饅頭と古代羊羹を買った和歌山市の島知子さんは「この日を待ちわびていました。和歌山の文化が1つ消えるのではないかと不安でした」、野志幸史(ゆきひと)さんは「昨年の営業最終日に噂を聞きつけ、夕方に本ノ字饅頭とプリンを買いに走りました。プリンは再開する日まで取っておこうと決めていたので、今日はようやく食べることができます」と喜びをかみしめていた。

 午前9時~午後6時。日曜定休。5月には高松店、中之島店を再開させる予定。駿河町本舗(073・431・3411)。

(ニュース和歌山2015年4月4日号掲載)