【秀吟】

トリックの世界に嵌る七不思議    田中 みね
みどり児の笑みにトリックなどはない 武本  碧
トリックは見せぬ男の意地がある   川上 智三
トリックなしのしあわせな白い紙   米澤 俶子
トリックの深さ明日の虹を追う    中西 宏夫
何故かかるオレオレ詐欺のトリックに 福島 一雄
トリックの種あの時のアドバルン        辻内 次根
だまし絵の目の錯覚に酔うてみる   久嶋美代子
騙し絵の中にトリックまぎれ込む   北原 昭枝
だまし絵の中へ紛れる逃避行     宇野 幹子
ジンクスを破るトリックなら受ける  玉置 当代
見抜けないふりをするのも世の情け  古久保和子
バナナの皮はトリックだったかも知れぬ 小川あき子
トリックを見破るような風に会う   北山 絹子

三席・わたくしが着ればブランドらしくなる  森口 美羽
二席・残り物と見せぬ料理で不意の客      石田ひろ子
一席・山高帽はトリック隠す大倉庫       井上 文子  

選者吟・マジシャンのように遣り繰りうまい妻

何故かかるオレオレ詐欺のトリックに 福島 一雄  
 悪徳商法に引っ掛からぬようという警告の句ですね。私は絶対騙されぬという人ほど被害に遭うと言われていますから、御用心!

山高帽はトリック隠す大倉庫     井上 文子  
 山高帽はトリックを隠すための大きな倉庫であるという、誰しもが思いつかない着想と比喩で、お見事な一席です。

4月の兼題は「しみじみ」。4月16日(木)必着。1人3句まで。 〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係。

(ニュース和歌山2015年4月4日号掲載)