紀の国わかやま国体まで半年となったこの春、5競技の全国大会で県内高校生が日本一に輝いた。このうち、今週はレスリングと自転車で全国制覇を果たした和歌山北高校勢を紹介。2015年、幸先良いスタートを切った選手たちは「地元国体でも優勝を」と声をそろえる。(残る3競技は18日号掲載予定です)

レスリング 吉田&三輪がV 和北 団体も県勢初の3位

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 3月26~29日に新潟で開かれた全国高校選抜レスリング大会。74㌔級で吉田隆起選手(新3年)が連覇を果たし、66㌔級でも三輪優翔選手(新2年)が優勝した。

 前回王者の吉田選手は大会3日前に左ひざを痛めるアクシデントに見舞われた。「ひざが曲がらず、タックルに入れない状態」だったが、敵の動きを見極め、攻撃してきたところをかわして後ろに回り込んでポイントを重ねた。準々決勝までの3試合はテクニカルフォール勝ち(1)。準決勝はフォール勝ち(2)で、決勝も8─1と相手を寄せ付けなかった。しかし、「無失点での優勝が目標だったので、うれしさはありません。高校生の大会ではそれぐらいの試合をしないと、東京五輪に間に合いませんから」。視線はまっすぐ2020年に向いている。

 一方の三輪選手。決勝で昨年インターハイ2位の中村剛士選手(新3年)と対戦した。最終第2ピリオド、残り1分で0─4と苦しい展開。ここで気持ちを入れ替え、積極的な攻撃から両足タックルを2度決めた。試合は4─4のまま終了。同点の場合は最後に得点した方の勝利のため、三輪選手の優勝となった。「自分のレスリングが8割できた。残り2割は、決勝の前半に得点できなかった点です」と反省を忘れない。それでも東中学3年の時以来の全国制覇に「今回は1歳上の選手も出場する中での優勝。自信になりました」。

 この大会、学校対抗戦でも北高が県勢初となる3位入賞を飾った。7階級あるうち、最重量の120㌔級に選手がおらず、続く84㌔級も、本来は66㌔級の辻大成選手(新2年)を起用する苦しい布陣ながら、その辻選手が準決勝までの5試合いずれも勝利と上位進出の原動力となった。辻選手は「体重20㌔の差に不安はありましたが、スピードを生かし、大柄な選手の腰が高くなったところにタックルを仕掛けました」。主将を務める吉田選手は「夏のインターハイこそ全員で全国制覇を」と思いを新たにしている。

写真=県勢初の団体3位となった北高の選手たち。前列左から2人目が吉田選手、3人目が三輪選手

1…テクニカルフォール勝ち=10点差以上をつけての勝利 2…フォール勝ち=相手の両肩をマットにつけての勝利

自転車 南選手 念願の頂点 「まだ強くなれる」

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 「やっと優勝できました」。笑顔がはじけるのは南潤選手(新3年、写真右〈携帯などは上〉)。3月19~22日、熊本での全国高校選抜自転車競技大会ケイリン種目で頂点に立った。

 この言葉の裏には、重ねた悔しさがあった。昨年春のこの大会、夏のインターハイ、秋の国体でいずれも2位と苦杯をなめた。8月の全国都道府県対抗大会少年男子の部で頂点に立ったものの、「強い選手が出場していなかったので」と自分に厳しい。敗れたのはいずれも1学年上の選手で、「今回は『勝たないといけない』と強い気持ちで挑みました」。

 南選手の武器は、国内の高校生で1、2を争うスタートの良さ。一方、これまでは最後の直線で伸びず、ゴール間際で差されることが多かった。今大会では最後までスピードを落とさない展開を考え、仕掛けのタイミングを遅らせた。「決勝もこの形。最後の直線で前の選手を抜いてトップに立ち、後ろから迫る選手に伸びがないと感じた時、優勝を確信しました」。熱いレース中も冷静だった。

 試合のない冬の間、基礎体力アップに打ち込んだ。「やってきたことが結果につながった。これでさらに練習に身が入る。まだ強くなれると思います」。高校最後の年、インターハイ、そして国体と3冠をねらう。

(ニュース和歌山2015年4月11日号掲載)