ITと介護職に力

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 障害者の雇用率アップが求められる中、今春、障害者総合支援法における就労移行支援事業所が和歌山市で新たに2ヵ所開設された。就職を希望する障害者向けに最長2年、職業訓練を行うもので、2013年の障害者雇用率制度改定以降、専門技術の習得やコミュニケーション力向上など、より専門性に特化した施設が誕生している。

 パソコンを使う職場と、介護現場で即戦力として働けるよう支援する和歌山市朝日のマイパレットは今年3月に開所。4月26日(日)と4月27日(月)に体験型の説明会を開く。運営する和乃絆の竹本安孝理事長は「個人に合わせ、専門的に学べる。初めの一歩を踏み出し、笑顔になってもらいたい」と願う。

 訓練では、事務職で使われるエクセル、ワードのほか、ホームページやチラシなどのデザインができるよう、専門的なグラフィックソフトを使う。介護部門は、高齢者施設での就職を目指し、介護職員初任者研修の資格取得に向けた講座や実技がある。

 このほか、併設する喫茶店での接客や調理体験、農作業など好きな訓練を選べる。春野令子理事は「これから支援学校を卒業する人だけでなく、働いた経験があるがつまづいた人、働きたいと思う人に来てほしい」と話している。

 説明会は午前9時~午後3時(4月27日は正午)。予約不要。パソコンのタイピング、農作業、ミシンを使った袋作りなどを通じて訓練を紹介。同施設(073・488・7391)。

写真=マイパレットの利用者とスタッフ

対人能力アップ

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 職業訓練校や学習塾を手がけるKEGキャリア・アカデミーは4月1日、精神、知的障害者の就労を後押しする「キセキの杜~ジョブステーション」を同市美園町にオープンさせた。

 特徴は、同社の教育指導カリキュラムや企業とのつながりを生かした点。障害者向けの職業訓練施設では一般的に、作業を通じた技能修得がメーンになりがちだが、キセキの杜では対人能力アップに力を入れる。具体的には、複数の利用者と職員が1つのテーマについて意見交換し、受け答えやあいさつなどの実践練習を重ね、コミュニケーション力向上を図る。さらに、企業実習や就職活動、就職後の定着支援まで、ジョブコーチが細やかにサポートする。

 スタッフの澤田淳さんは「対人関係がしんどくなって退職する人が多く、そういった人たちは社会との接点が少なくなっている。地域で生き生きと暮らす障害者を増やしたい」と描いている。

 所得により利用額は異なる。同施設(同424・0101)。

写真=意見交換でコミュニケーション法を学ぶ

(ニュース和歌山2015年4月25日号掲載)