2015042502tan

 春を代表する花の1つ、タンポポ。元々、日本にあった在来種、外国から来た外来種、両者の雑種の3種類に大きく分けられる。その分布状況を知るため、広く一般に参加を募って、「タンポポ調査・西日本2015」が現在進められている。県実行委の県立自然博物館、内藤麻子学芸員は「タンポポを通して身近な環境に目を向けてもらえれば」と呼びかける。

 在来種と外来種は花の裏にある総苞外片(そうほうがいへん)と呼ばれる部分である程度見分けられる。この部分が上を向いていれば在来種、下に反り返っていれば外来種だ。ただ、最近は斜め上や横、斜め下になっているものも増えており、正確には花粉を確認しなければならない。

 在来種は河原や田の周辺といった里山的な場所、外来種は造成地や道路の分離帯など人が大きく手を加えた場所に多い。好む条件が異なることから、環境の状態を見る物差しになる。分布調査は1970年代から専門家らが行ってきたが、同じ時期に統一した方法で広範囲にわたって実施したのは2005年が最初。この時は近畿全域で、10年には西日本に範囲を広げて調べた。

 過去2回の結果を見ると、県内の外来種(雑種含む)は05年が40・5%、10年は37・4%と、大きな変化は見られなかった。10年の大阪は68・7%、広島は75・5%で、内藤学芸員は「都市部に比べると和歌山は在来種が多く、昔ながらの里山の環境が残っていることが分かります」。

 内藤学芸員が注目するのは、「花の見かけは外来種のセイヨウタンポポだが、総苞外片が上を向いているものが増えている」点だ。県内では05年は和歌山市の1ヵ所だったが、昨年の予備調査では同市、海南市、岩出市の3ヵ所で確認した。それぞれの場所の個体数も増えている。

 5年おきに行う調査、今回も西日本の19府県が対象。専用の用紙にタンポポを見つけた場所、総苞外片の状態などを書き、花と、あれば種を添えて事務局に送付するだけと簡単だ。期間は5月31日までで、用紙は自然博物館、こども科学館などで配布しているほか、タンポポ調査HPでダウンロードできる。自然博物館(073・483・1777)。

(ニュース和歌山2015年4月25日号掲載)