【秀吟】

苦労した親の足跡踏みしめる     三枝眞智子

子に残す足跡だから踏みしめる    松山 あや

足跡に責任持てと子を育て      谷口 寿彦

欲ばって二足の草鞋履き違え     磯部 義雄

楽せずに歩けと足に叱られる     土屋起世子

さっそうと歩いてはまる落とし穴   中西 宏夫

軸足がぶれてポイント見失う     武本  碧

苛だって蹈鞴ふんでる僕の影     上野美枝子

踏ん張って立たねばならぬ役どころ  上村八重子

二の足を踏んでいる間に攫われる   玉置 当代

時々はお日様見たい足の裏      橋本  竜

足音がドレミをうたうランドセル   北原 昭枝

尺貫法で言う地下足袋の底力     古久保和子

一本の道つらぬいた土踏まず     酒井 純子

三席・見返りを望まぬ母の土踏まず  楠原 富香

二席・足音をさせて私を主張する   森口 美羽

一席・回り道した足跡に人の幅    喜田 准一

 選者吟・知らぬまに他人の足を踏んでいる

【寸評】

さっそうと歩いてはまる落とし穴   中西 宏夫

  自信過剰、上手の手から水が漏れと言われます。詐欺商法等にはくれぐれも御用心を。

足音をさせて私を主張する      森口 美羽

  「足音をさせて」と比喩的に詠んで佳句に仕立てられています。

回り道した足跡に人の幅       喜田 准一

  艱難辛苦を耐えてきた人生を「回り道した足跡」と巧みに比喩されてのお見事一席です。

5月の兼題は「迷う」。5月14日(木)必着。1人3句まで。

〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係

(ニュース和歌山2015年5月2日号掲載)