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 認知症の人や、介護する家族が語り合う場「やすらぎカフェ」が県内で広がりを見せている。「認知症の人と家族の会和歌山県支部」が、ぶらくり丁と海南市下津町の介護施設で毎月1、2回開催しており、5月26日(火)には同市名高のファーストガーデンで始める。同支部の野中たづみ副代表(66)は「認知症の本人は外に出て刺激を受ける場に、介護で疲れている家族は、相談や気軽におしゃべりできる場として利用してほしい」と望む。

 1981年に和歌山市の診療所が立ち上げた同支部は、現在会員90人。専門医を招いての相談会を毎月開くほか、季刊誌の発行と春と秋には親ぼく旅行を行い、電話相談も受ける。やすらぎカフェは2年前にぶらくり丁にあるぶらりブリスの共有スペースを借りて始めた。月2回、指編みのマフラーやフェルトを使った小物など簡単な手芸をしながら、会話を楽しむ。

 認知症の夫を15年間介護している和歌山市の真殿(まどの)泰子さん(79)は「昔は主人とけんかばかりで、うつ状態になりました」。2年前からカフェに来ており、「相談し合える友人と出会えたことで笑顔が多くなりました。ここに来ることが今の私の生きがいです」とほほ笑む。同市の山崎喜世子さん(81)は、3年前に認知症の夫を看取った。「今は1人で暮らしているけれど、ここへ来るのが何よりの安らぎ。みんな同じ経験のある仲間なので分かり合えます」と目を細めていた。

 抹茶と茶菓子、材料費込みで450~650円。ぶらりブリスが毎月第2、4金曜、ファーストガーデンが第4火曜でいずれも午後1時~3時。同支部(073・432・7660)。

写真=リラックスして会話を楽しめる

(ニュース和歌山2015年5月9日号掲載)