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 和歌山県は6月8日、国が進める地方創生総合戦略の県版「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を発表した。2060年の県人口70万人確保を目標に、その達成のため、雇用創出や移住促進など今年度から5年で取り組む施策をまとめた。

 県の人口は1985年の108万7千人をピークに減少し、2015年現在は96万6000人で、65歳以上が27%を超える。死亡数が出生数を上回り、若者の県外流出が下げどまらないことが課題となっている。

 このままでは、60年には52万人まで激減し、65歳以上が42%と、高齢者1人を現役世代1人で支える状態になると試算。労働者人口が減り、社会保障費負担が増え、自治体の存続が危うくなることから、高齢者1人を現役世代2人で支える状態を守るため、70万人確保を目標とした(グラフ)。仁坂吉伸知事は「『現実』と『理想』に、『するべきという必要論』の3つを合わせた人口推計。和歌山の魅力を高めて移住者を増やし、魅力を知らずに県外へ出ていってしまう人を少しでも減らす」と話した。

 総合戦略では、5つの基本目標を設定。「安定した雇用の創出」として5年間で4000人を目標に、起業者支援や中小企業の競争力強化、農林水産業の担い手育成と生産拡大、観光振興などに取り組む。

 「新しい『人の流れ』の創造」では、年間移住者1000世帯を目指し、奨励金や相談窓口の設置、空き家の利活用を進め、30市町村で移住者支援を整える。

 また、「時代に合った地域をつくる」として、中心市街地の衰退を防ぐため、郊外での農地から宅地への転用を抑え、商業施設や医療、福祉施設を中心部に集約したコンパクトな街づくりなどを目標に掲げた。

 今後、県の総合戦略をふまえ、各市町村が市町村版を策定する。仁坂知事は「役場だけでなく、民間とも力を合わせて良いものをつくってほしい。県のミニチュア版とならないよう、市町村それぞれのまちの特色を生かした戦略を立ててもらえれば」と語った。

(ニュース和歌山2015年6月20日号掲載)