【秀吟】

思い切って買うかバーゲンまで待つか 田中 みね

浮上すると迷ってしまう深海魚        馬場 明子

いつまでも五欲に迷う日が続く          北浦 彦弘

御破算にして再生の道迷う      玉置 当代

三叉路で迷った時は中を往く               冨吉  剛

非常口見つけてからは迷わない          武本  碧

葛なら小さい方と決めている               さかたきく

私を迷わせたのはつむじ風                  福本 聖子

はいと言う返事で迷いから覚める       森口 美羽

迷いの中で骨太になってゆく               小原 敏照

百花繚乱出会った花に迷う蝶     米澤 俶子

戦知らぬ子が迷彩の柄に凝る           上野美枝子

鉛筆で離婚届を書いておく        磯部 義雄

迷うことなく鰯の腹を裂いている       楠見 章子

三席・未来永劫迷彩服は着てならぬ  古久保和子

二席・重盛は父と帝の板挟み     上野  寛

一席・迷うまいまだ手付かずの明日がある  福井 菜摘

 選者吟・悪行成り易く善行成り難し

【寸 評】

葛なら小さい方と決めている     さかたきく

  人間は大きい葛を求めすぎて、無理をしたり大けがの元になるものです。作者のように「足るを知る」人生観を見習いたいです。

迷うまいまだ手付かずの明日がある  福井 菜摘

  あくせくと今日を迷うことはない。今日の失敗も明日取り返せばいいのです。「手付かずの明日がある」がけだし名言の一席です。

※8月の兼題は「賑やかなこと」。8月13日(木)必着。1人3句まで。〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係

(ニュース和歌山2015年7月18日号掲載)